熊本地震犠牲者追悼式で黙とうする遺族=熊本市中央区で2024年4月14日午前10時1分、吉田航太撮影
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 観測史上初めて最大震度7の激震に2度襲われ、関連死を含めて熊本、大分両県で276人が犠牲になった熊本地震から14日で8年となった。熊本市中央区の熊本県庁では追悼式典があり、遺族らは失った家族や過ぎ去った日々に思いをはせていた。

 式典は2023年3月に完成した県庁内の慰霊碑前で初めて実施され、遺族や蒲島郁夫知事ら28人が黙とうをささげ、献花した。

熊本地震犠牲者追悼式で遺影を手に献花する遺族=熊本市中央区で2024年4月14日午前10時11分、吉田航太撮影
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 自宅の下敷きになり当時84歳の父を亡くした熊本県益城町の男性(66)は「まだ思い出すこともあるが、引きずってもしかたがない」と初参列した。1月の能登半島地震に触れ「妻や子どもを亡くした人たちを見て『理不尽なこと、どうしようもないことはあるのだな』という気持ちになった」と話した。

 熊本市南区の磨井ミエ子さん(78)は人工透析治療を受けていた当時72歳の夫、保雄さんが災害関連死した。保雄さんは、かかりつけの病院が被災し、長男のいる長崎県に避難。透析治療を受けたものの、普段と違う機械に苦しさを訴え、治療後に亡くなった。近く長男と同居予定で、今回が最初で最後の参列といい「子ども3人、孫3人、元気にやっとるから安心して」と語りかけていた。

 「『前向きに生きることが息子の供養になる』とやっと思えるようになった」という熊本県八代市の男性(58)も初参列。大学に入学したばかりの当時18歳の長男を亡くし「今も無念でならない」と手を合わせた。

 15日で4期16年の任期を終える蒲島知事は「熊本地震は知事になって一番苦しいことだった」と振り返った。【山口桂子、森永亨】

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