市川工業高校(定時制)で開催される校内居場所カフェには毎回40人前後の生徒が訪れる=千葉県市川市平田3の市川工業高校で2023年11月16日、長沼辰哉撮影

 若者の貧困問題などに取り組むNPO「ハイティーンズサポートちば」(千葉市中央区)が、放課後に学校内で地域の人らと交流する高校生の「校内居場所カフェ」に参加した生徒にアンケートを実施した結果、1日の食事が1、2食と答える生徒が過半数だった。同NPOへの取材で判明した。【長沼辰哉】

 アンケートは今年2月に実施し、市川工業高校(定時制)に通い、同カフェに参加していた当時1~4年の22人が回答。「1日何食食べていますか?」との項目に、1日1、2食と答えた生徒は過半数の13人だった。1日1、2食の生徒数が、3食の生徒数を上回る傾向は約2年前から変化はなかった。

 また、食品の無料配布もしている同カフェにどんな食品があるといいか(複数回答可)を尋ねたところ、カップ麺15人▽飲み物13人▽レトルト食品11人▽お米10人▽おにぎり10人――となった。同NPOの三尾敬次副理事長は「家に帰っても食べ物がないという生徒もいる。定時制の給食が廃止され、1食減ったという声もある」と話す。

地域と交流経て、将来への展望も

 一方、同カフェの取り組みにより、生徒の悩み事にも変化が表れている。「今の生活で困っていることは?」との質問(複数回答可)に、一番多かった「特にない」(12人)に続き、「高校卒業後の進路」が6人で続いた。同校の勝又英子前副校長は「カフェで将来について地域の人と話したり、スーツ姿でカフェに来る上級生が後輩に刺激を与えたりして、プラスの効果が表れている」といい、卒業後の進路を前向きに考える生徒が増えたとしている。3月に卒業した生徒15人は全員、進路が決まったという。

 また、2年前は約半数が「学校のこと」という選択肢を選んだが、今回のアンケートで選んだ生徒はいなかった。同NPOによると、以前は仕事やアルバイトと学業の両立や介護などの家族のケアで進学を続けるか悩む生徒が多かった。しかし、同カフェで地域の人と交流することで、悩み事を打ち明けたり、学校に愛着を持ったりするようになったとしている。

 同NPOの三尾さんは「アンケート結果を運営スタッフと共有して、今年度も活動を続けていきたい」としている。

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