◆はじけ始めた「エブリシング・バブル」
エミン・ユルマズさん
「エブリシング・バブル」は、「多岐にわたる資産の価値が実態とかけ離れて高騰した状態」を指す著者独自の言い回しだ。多岐にわたる資産とは、一部の株式、不動産、高級車など。「価格が上がるべくして上がったものもあるが、過剰な面はあります」。リーマン・ショックや新型コロナウイルスの感染拡大で各国が実施した金融緩和の影響を、よどみのない日本語で解説する。 トルコのイスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンになり、国費留学で来日した。日本語学校で学んだ後、一般受験で東京大に合格。大学院で生命工学の修士を取得してから、野村証券での勤務などを経てエコノミストとして活躍する異色の経歴の持ち主だ。◆海外企業による投資をもっと呼び込める
エミン・ユルマズさんの「エブリシング・バブル 終わりと始まり 地政学とマネーの未来2024―2025」
エブリシング・バブルはすでにはじけ始めたが、インフラが整い製造業の盛んな日本は海外企業による投資を呼び込むと予測している。「2050年に日経平均株価は30万円に達する」という。 そんな強気の未来を語る一方で、株価が高い社会がすべての人にとって幸せとは限らないとも。時代を乗り切るには、大局観が必要だと呼び掛ける。◆「結論にたどり着く過程を参考にしてほしい」
新少額投資非課税制度(NISA)で株式投資が活発になり、多くの人が日々の株価に一喜一憂している。そんな中、さまざまな統計や経済指標を駆使した市場解説や予測が人気を集め、短文投稿サイト「X」のフォロワーは45万人近くに上る。 それでも本人は「自分は予想屋ではありません」と淡々としている。「人生に対するアプローチや投資の考えはそれぞれある。私の結論を受け入れるというより、結論にたどり着く過程を参考にしてもらいたい。大切なのは思考のプロセスです」(諏訪慧) プレジデント社・1870円 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。