アジア太平洋地域での最大の投資案件に(写真はニューヨークのブラックストーン本社)=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米大手投資会社ブラックストーンは4日、カナダの公的年金のカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)と共同で、オーストラリアのデータセンター運営大手エアトランクを240億豪ドル(約2兆3400億円)で買収すると発表した。人工知能(AI)の利用拡大で需要が伸びるデジタルインフラへの投資を加速する。

豪投資会社マッコーリー・アセット・マネジメントとカナダ公的年金PSPインベストメンツからエアトランクの株式を取得する。買収額には負債や進行中の投資計画も含む。買収は豪当局の承認が条件だが、実現すればブラックストーンにとってアジア太平洋地域で過去最大の投資案件となる。

エアトランクはオーストラリアや日本、マレーシアなどでデータセンターを運営しており、アジア太平洋地域で最大規模のデータセンター事業者だ。規模を示す電力容量ベースで800メガ(メガは100万)ワット強に及ぶ。

生成AI開発に欠かせない大規模な演算処理能力を賄うため、世界各地でデータセンターの開発ラッシュが続いている。ブラックストーンの推計では今後5年間で世界全体のデータセンター投資需要は2兆米ドル(約290兆円)に及ぶ。

同社はすでに550億米ドル規模のデータセンターを米国内外で保有し、700億ドル規模の新規開発計画も進行中だ。エアトランク買収により、傘下のデータセンター規模が一気に拡大する見込みだ。

ジョン・グレイ最高執行責任者(COO)は声明で今回の買収は「世界有数のデジタルインフラ投資家を目指すうえで重要なステップ」と述べた。

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