35年ぶりの洗浄を終え、色も塗り直されきれいになった五代友厚像=井上浩平撮影(大阪市中央区)

2025年大阪・関西万博に向けた機運醸成につなげようと、近代大阪経済の祖と称される大阪商工会議所の初代会頭、五代友厚の銅像が35年ぶりに塗り直された。五代は1867年にパリで開かれた国際博覧会(万博)に日本が初めて参加する道筋をつくった功労者。大商関係者は「万博成功を見守ってもらいたい」としている。

五代は天保6(1836)年に鹿児島県で生まれた薩摩藩士で、明治期には大商や大阪取引所の設立に奔走し、近代大阪の礎を築いた。パリ万博に薩摩藩が展示場を確保したことにも尽力したとされる。近年では平成27~28年放送のNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」で俳優のディーン・フジオカさんが演じ、「五代さま」ブームが起きた。

塗り直された銅像は、大阪市中央区の大阪商工会議所本部ビル前にそびえる。明治33年に初代の銅像が設置されたが、先の大戦時の金属類回収令で供出され、現在の像は昭和28年に再建された2代目。同じく大商会頭を務めた土居通夫と稲畑勝太郎の像とともに、大商の入り口近くに設置されている。

洗浄する前の五代友厚像。経年による劣化が目立っていた(恵守乾撮影)

銅像はこれまでも簡易な洗浄は行われていたものの、近年は経年による劣化やさびが目立つように。本格的な洗浄の実施を検討していた大商は、五代が万博に縁があることから大阪・関西万博に合わせた塗り直しを決定。万博開催1年前までに終え、設置当初に近い青銅色を取り戻した。関係者は「五代さんが日本の万博参加の功労者であることを像を通じて知ってもらい、今回の万博の盛り上がりにもつながれば」と期待していた。(井上浩平)

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