中東情勢の緊迫化で原油価格が高騰し、国内でも物価高が再燃する懸念が高まっている。原油は多くの製品の原料に使われており、値上げが広範囲に及ぶ可能性が高いからだ。記録的な円安による輸入物価の上昇も家計に打撃を与え、個人消費が低迷する恐れがある。
19日のニューヨーク原油先物相場ではイスラエルによるイランへの攻撃で原油供給が滞る不安から買い注文が優勢で、指標の米国産標準油種(WTI)5月渡しが一時1バレル=86ドル台に上昇した。
原油価格の高騰は幅広い業界に影を落とす。電気やガスの料金が値上がりし、ガソリンなど燃料費の上昇で物流費もかさむ。製品の包装材も値上がりするなど、大半の企業がなんらかの影響を受ける。原材料を輸入に頼る企業にとっては、円安も大きな打撃となる。
足元の原油高の影響が最終製品やサービスの価格に及ぶのは数カ月後になる見通し。帝国データバンクの担当者はペットボトルや包装材の原価が上がることで「10月ごろから飲料や菓子メーカーなどが値上げに動く可能性がある」とみている。(中村智隆)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。