三菱UFJ銀行が開いたスタートアップ支援イベント(9日、愛知県豊橋市)

三菱UFJ銀行は9日、愛知県豊橋市でスタートアップ企業を支援するイベントを開いた。スタートアップの育成に力を入れる東三河地域で、県内の地銀や信用金庫の顧客と新興企業の出会いの場をつくるのが狙いだ。10月に愛知県の新興育成拠点「ステーションAi」が開業するのを機に、メガバンクと地域金融機関が協力して新興育成に動く。

イベントは三菱UFJ銀行が主催した。後援には愛知県に地盤を持つ名古屋銀行、愛知銀行、中京銀行と、豊橋周辺を営業地域とする蒲郡、豊橋、豊川の3信金が入った。階層の違う金融機関が連携して新興企業の支援に動くのは珍しい。

愛知県や豊橋市などの自治体のほか、豊橋周辺の有力企業で構成する東三河スタートアップ推進協議会、豊橋技術科学大学、ステーションAiも後援に加わった。三菱UFJ銀行の高原一郎副頭取は同日開いた記者会見で「スタートアップの土壌が肥沃な東三河で、金融機関だけでなく地域全体としてイノベーションを促したい」と産学官金の連携を強調した。

イベントには豊橋市など地元のスタートアップをはじめ14社が登壇し、自社の事業を金融機関やその顧客に対してアピールした。ワイヤレス充電システムを手掛ける豊橋技術科学大学発のパワーウェーブ(豊橋市)の種田憲人副社長は「このイベントをきっかけに地元のネットワークの拡大につなげたい」と期待感を示した。

三菱UFJ銀行は中部地域で新興企業の支援を強化している。4月には名古屋大学と岐阜大学で構成する東海国立大学機構が立ち上げるベンチャーキャピタルの設立に向けて、資金を寄付すると発表した。昨年5月には、名古屋銀や碧海信用金庫と組んで新興支援イベントを実施した。

今回のイベントでは規模をさらに拡大し、約230人が参加した。豊橋市周辺の新興企業支援イベントとしては過去最大級となった。今年10月のステーションAiの開業を前に、業態の垣根を超えてスタートアップ支援のエコシステム(生態系)を構築する。今後は他地域でも同様の支援イベントの開催も視野に入れている。

経済センサスによると、豊橋市にある企業などの事業所数は2023年時点で297。新型コロナウイルス禍の影響もあり、19年(322事業所)から4年で8%減った。地域の活性化のためには、成長力のあるスタートアップの育成に向けた金融機関と既存企業、自治体の協力が欠かせない状況にある。

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