日本証券業協会の森田敏夫会長は銀証のファイアウオール規制の運用を変える必要性を訴えた

日本証券業協会の森田敏夫会長は1日の記者会見で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の銀行と証券2社で発覚した情報授受規制の違反に言及した。森田氏は野村証券の前社長で、銀証間での情報連携のあり方に関し「規制などでより明確なルールを示すことも必要ではないか」と提起した。

銀行と証券の情報共有を制限する「ファイアウオール規制」を2022年に緩和した際に設けた弊害防止措置を例示した。「プリンシプル(行動規範)ベースになっている」と指摘し、より強制力のある仕組みが必要だとの認識を示した。

MUFG傘下の銀行と証券2社を巡っては、金融庁が6月24日に金融商品取引法に基づく業務改善命令を出した。森田氏は「リーディングカンパニーでこうした事態が発生したことと、顧客の意に反した対応がとられたことは重く受け止めざるを得ない」と強調した。

現行の法体系の変更の必要性も唱えた。非公開情報の授受規制は金商法に規定がある一方で銀行法にはない。森田氏は「顧客情報の管理に対する姿勢に差を生んでしまう可能性がある」と語った。

同一の事業を営んでいるにもかかわらず適用する法律が異なる場合がある点に触れて「個々に分かれていることはどうなのかと考えていくべきだ」と話した。

日証協は7月1日、新事務年度の活動を始めた。森田氏は新たな重要施策として「ミドル・バックオフィスの効率化」を掲げた。「特にこの分野では人材が枯渇しており、何とか業界横断的な取り組みができないかということで力を入れていきたい」と述べた。他にも重複業務がある可能性を挙げ「今回、風穴を空けていきたい」と強調した。

具体的にはサイバーセキュリティーや相続、口座開設、売買審査、株式公開買い付け、外国株式の分割・現金配当に関する事務の6分野を例示した。それぞれの分野で会議体を立ち上げ、1年ほどをかけて改善策を議論する。

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