TSK news イット!では「ピックアップ2024」と題して、この時間にお伝えした特集企画で2024年を振り返ります。1回目は、音楽をこよなく愛する松江市の男性が開発した「カスケーダー」と呼ばれるギターの演奏器具、伝説のギタリストもお墨付きを与えたという画期的な発明品にスポットをあてます。

「ビートルズ」の楽曲を弾き語る男性。松江市在住の小瀧武治さん、自称「下町のジョンレノン」。定期的に市内のライブ会場でビートルズの楽曲を演奏しています。実は「下町のジョンレノン」は仮の姿…本業は音響スタッフ、いわゆる「音声さん」です。市内の会社に勤め、主にTSKのニュース番組や、音楽コンサートなど音響に関わる仕事しています。音の世界で生きる小瀧さんが、音楽を愛するあまり本業の傍ら開発したのがギターの演奏器具、その名も「カスケーダー」です。

小瀧武治さん:
初めて(カスケーダーで)音を奏でたときに、まさにこれだと。ニューワールド、新しい世界が開けたって感じですね。

弦を抑えながら指を滑らせて音程を変えていくギターの演奏技法のひとつ「スライド奏法」で使うというこの器具。通常、スライド奏法では「ボトルネック」という器具が使用されます。小瀧さんが開発したボトルネックの改良版「カスケーダー」では「こすれる音がしない。クリアな音でスライドのサウンドが生まれる。長い持続音を生み出すことができる。細やかなビブラート、揺らぎ効果が生まれる」などその特徴に自信を深めています。最大の特徴がローラーで、弦の上を擦ることなく転がることにより、より繊細な音を奏でることができるといいます。

着想を得たのは約20年前。オーストラリアに滞在中、先住民のアボリジニの音楽に触れ衝撃を受けます。

小瀧武治さん:
自由な発想で自由な音、音が繋がっていくようなイメージ。(ギターの)スライド奏法自体が音がつながる物なので、可能性がひらめいた。

100年以上形が変わっていないボトルネックに着目。改良することで音楽の歴史を変える可能性を感じました。

小瀧武治さん:
音楽で豊かな影響を受けている、音楽に対して恩返したい、次世代に繋がるものを残したいという気持ちが強かった。

構想20年、試作を重ねること4年。2024年3月に完成しました。完成度の高さに自信があったことから、自分だけでなくプロのギタリストにも「使ってほしい」とアプローチ。ミュージシャンの浜崎貴司さん。アメリカのジャズの巨匠であるジョン・パティトゥッチなど、名だたるアーティストに完成品を送ると好反応!そしてなんと…伝説のロックバンド「クイーン」のギタリストであるブライアン・メイも!マネージャーにメールで連絡を取ると、本人から「君の発明品を見たい」と返信がありました。

カスケーダーを送ると「驚くほど伸びやかな響きと、美しい音色を生み出してくれる!」とまさかの反応が!さらに「重さのバランスや指の使い方に問題はあるが、楽器というのは慣れていくものであるから、私もこれに慣れて使っていくよ」との返信が来たということです。
クイーンの大ファンという下町のジョンレノン・小瀧武治さんは「これで死んでもいいかなという思いになりました」と語ります。ブライアン・メイのお墨付きをもらい自信を深めた小瀧さんは、会社に新部署を作り、カスケーダーを商品化。4月からネットショップで販売を始めました。

e-nextvision代表社員・門脇玄宗さん:
(営業活動に)手ごたえはあります。今後発展していくんではないかと思います。
アメリカが結構面白いのではないかと思ってて、そっちの方も進めていきたい。

現在、国際特許を申請中で販路拡大をめざしています。

小瀧武治さん:
新しい音が生まれたことによって、新しい奏法が生まれる、そしてその奏法によって新しいジャンルを超えた音楽が広がることに期待しています。

伝説のギタリストもお墨付き!下町のジョンレノンが音楽への熱い思いで生み出したカスケーダー。音楽の新たな扉を開く大発明になるかもしれません。

このようにギターの音色を新たな次元へと導いたかもしれない小瀧さん、伝説のロックバンド・クイーンのギタリストであるあのブライアン・メイに認められたというこのカスケーダー、さらに別の大物アーティストが興味を示したといい、その後の展開にも期待しています。ジャンルを超えて国内外のギタリストに広がり始めている小瀧さんのカスケーダー。実は少しずつ進化しています。

小瀧武治さん:
弾いた人のプロの意見を取り入れながら強靭化、軽量化、さらに弾きやすく工夫をしまして。

丈夫で軽く、扱いやすいよう改良を加えました。そしてさらに…真ちゅう製のローラーが光り輝く素材に替わった特別バージョンも。

小瀧武治さん:
島根県で唯一無二の「玉鋼」を使ったカスケーダーをついに作ることができました。

伝統の「たたら製鉄」で生まれた「玉鋼」を使用。持ち手の部分は、伝統工芸の「八雲塗」で仕上げたその名も「SHOGUN(ショーグン)」カスケーダーです。
「SHOGUNカスケーダー」は、松江市の「ふるさと納税」の返礼品にも採用され、認知度も少しずつ向上しているようです。

小瀧武治さん:
やっと世に放ったカスケーダーが、数多くのアーティストの皆さまに弾かれることによって、皆さんの耳に素晴らしい演奏が届けられるような1年が訪れればいいなと思っています。

小瀧さんは、2025年にアメリカ・ロサンゼルスを訪れ、世界最大級の音楽関連の展示会に集まる関係者に、自慢のカスケーダーをPRすることにしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。