囲碁の第72期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)第4局が6日、神奈川県秦野市で打たれ、井山裕太王座(35)が挑戦者の芝野虎丸九段(25)に193手で黒番中押し勝ちし、3勝1敗で4連覇を果たした。通算獲得タイトル数は77(うち7大タイトル62)となり、二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)の記録を更新して歴代単独1位となった。また、王座は通算10期となり名誉称号の資格を得るとともに、碁聖と十段との3冠を堅持した。芝野九段は3度目の獲得はならなかった。
この日の対局は、井山王座が中盤以降にリードを奪うが、終盤に入って難解なコウ争いとなり形勢不明の展開に。しかし最後に芝野九段にミスが出て井山王座が際どく競り勝った。終局後、井山王座は「開幕局の負け方はまずかったし、本局も後半まずい部分が出てしまった。反省点は多々あるが、結果に関してはうれしく思う」と語った。また、通算獲得タイトル数が歴代単独1位になったことについては「趙先生の記録はあまりに偉大で、自分が到達できるとは考えられなかった。棋戦やタイトルの数は変動があるので比べられないが、記録の上だけでもそういうところにたどり着けたのはうれしく思う」と話した。
7大タイトルは、3冠の井山王座と4冠の一力遼本因坊(27)=棋聖・名人・天元=の2人が分け合う形となった。【武内亮】
二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)の話
井山さんに僕の記録を追い越されるたび原稿を頼まれます。腹が立つやら、怒りで胸は張り裂けそうです。この怒り、原稿用紙のマス目に埋めてやる! 瞑想(めいそう)三日三晩。不思議なことに怒りより感謝しか思い浮かびません。井山さんに並ばれ、追いつかれ、背中を見られるのは趙治勲碁打ち冥利に尽きます。井山さんいつまでも美しく、強く、輝いて、俺たち碁打ちに感動と驚きをください。これですべての記録を破られたので最後の言葉になりました。遥(はる)か彼方(かなた)に行ってしまった井山裕太さんの背中にありがとう。
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