終局後の記者会見で「7冠制覇は大きな目標として、情熱を持ってやっていきたい」と語る一力遼新名人=千葉県木更津市で10月31日、武内亮撮影

 第49期名人戦七番勝負を制し、初の名人位を獲得した一力遼新名人(27)が終局後、記者会見した。一力名人は「今シリーズの内容に点数を付けるのは難しいが、その時の100%は出したつもり。7冠制覇は大きな目標として、情熱を持ってやっていきたい」などと語った。主なやり取りは次の通り。

 ――シリーズを振り返って。

 一力名人 6局を通して難しい碁が多かった中で、4勝2敗の結果を出せたのは自分なりに精いっぱいやった結果かなと。非常にホッとしている部分がありますし、うれしく思っています。

 ――シリーズの内容に点数を付けるとしたら何点か。

 ◆いろいろとミスの場面もあり、点数を付けるのは難しいですが、その時の100%を出したつもりではいます。

 ――3年前の挑戦時と比べて何が違ったのか。

芝野虎丸名人(左)を破り、名人位を初獲得した一力遼新名人=千葉県木更津市で10月31日、武内亮撮影

 ◆(井山裕太王座に挑戦した)3年前の名人戦は、第6、7局とかなりまずい負け方になってしまった。今回も先に3勝を上げましたが、あと1勝というのは気にせずに、とにかくベストを尽くそうと。メンタルの部分が3年前と変わってきたかなと思います。

 ――棋聖と名人を獲得して名実ともに第一人者となったのではないか。

 ◆名人は小さなころから憧れていたタイトルでしたので、それが今日達成できてホッとしています。これで4冠になりましたが、井山さん(裕太王座)は3冠を保持されていますし、来年からも井山さんとの棋聖戦防衛戦が始まりますので、まだまだ戦いが続いているかなと感じています。

 ――7冠独占の景色を見たいですか。

 ◆7冠は自分の中で大きな目標ではありますが、十段や碁聖、王座はまだトーナメントすら始まっていない状況ですので、あまり先のことを考える段階ではない気がしています。ただ、7冠は大きな目標として情熱を持って続けていけたらと思います。

 ――今年に入り、棋聖3連覇、本因坊2連覇、そして世界一になるなど充実した一年となり、いま囲碁を打っていて楽しいのではないか。

終局後の記者会見で「7冠制覇は大きな目標として、情熱を持ってやっていきたい」と語る一力遼新名人=千葉県木更津市で10月31日、武内亮撮影

 ◆今年は今のところ結果は残せていますが、まだ天元戦の防衛戦も残っていますし、農心杯や三星杯などの国際戦もあります。残り2カ月も頑張り切って、いい1年だったと思えるようにしたい。

 ――4冠を保持して第一人者として世界戦に臨む思いは。

 ◆世界戦で結果を残していくことが、日本のタイトル戦の価値を高めることになると思うので、そういった意識を持って一つでも上を目指してやっていきたい。

【武内亮】

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