福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは今回、福井城址のすぐ近くにある「福井神社」を訪ねます。モダン建築としての評価が高く、建物やその配置などに、設計者の計算しつくされた黄金比が隠されています。また、月ごとに変わる御朱印がSNSでも話題になっています。
福井城址の北西に位置する福井神社。鳥居をくぐり進んでいくと、コンクリート製の特徴的な大鳥居が出迎えます。
福井神社は1943年、幕末の福井藩主・松平春嶽をまつる神社として、総ヒノキ造りで創建されましたが、わずか2年後、福井空襲によって全焼しました。
その後1957年に空襲や震災に強い、鉄筋コンクリート造りで再建されました。設計者は、当時福井大学の助教授だった建築家・五十嵐直雄。伝統的な神社建築様式「神明造」を大胆に革新し、前衛的な神社を作り上げました。
2022年には、モダニズム建築の保存に取り組む国際学術組織「DECOMOMO」から、神社としては初めて「価値あるモダニズム建築」と認定されました。
設計者の五十嵐氏はモダニズム建築の基本である「直線・直角」にこだわり、8棟の社殿すべてが直線的な構成で造られています。
中でも拝殿は、神明造の特徴である棟を支える「棟持柱」を生かしつつも、神社建築としては日本で初めてフラットスラブ(平らな屋根)を採用。これまで曲線の屋根が当たり前だった神社建築を大きく革新しました。
さらに拝殿は、人が最も美しいと感じるとされる黄金比、縦横が5:8で建てられています。さらに大鳥居も縦横が5:8で、拝殿が鳥居の中にきれいに納まって見えるようになっていて、神社全体が視覚的に心地良さを感じられるよう、緻密に計算されています。
福井神社の楽しみ方がもう一つあります。個性的でバリエーション豊富な御朱印です。月によって変わるデザインは、季節の移ろいを感じることができます。
11月の御朱印はサンマや越前がに、紅葉などのデザインが用意されています。
他には例を見ない設計の近代的な神社で、洗練されたモダニズム建築の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。
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