山口県宇部市のときわ公園で27日に開幕する「第30回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」(宇部市、毎日新聞社など主催)の大賞には、渡久地(とくち)佑弥さん(24)=福岡市=の「Press block」が選ばれた。
鉄筋の骨組みにモルタルを塗り込んだ高さ4メートル、縦横各2・1メートルの直方体の作品で、圧倒的な質感と存在感を放つ。選考委員からは「表現に挑む新鮮さがある」「未知の可能性にひかれた」と評価された。
「素材で何かを造る、というよりも、素材それ自体を作品にしたかった。また、野外彫刻の持つさみしさのようなもの、ずっと外に一人で在り続ける感じが好きで、それを形で表現してみたかった」と渡久地さん。
福岡市出身。進学した九州産業大(福岡市)では国際文化学部に所属した。本格的に彫刻を始めたのは2023年、九州産業大大学院の芸術研究科に進学してからだ。
担当の前田哲明・特任教授も、01年の第19回UBEビエンナーレで大賞を受賞。前田さんの勧めもあって今回初めて応募し、いきなりの快挙を成し遂げた。会場のときわ公園への作品搬入も、前田さんが自らトラックを運転して手伝ってくれた。そんな恩師には「やりましたよ」と報告したいと言う。
勢いや思いをストレートにぶつけたのが今回の作品なら、次作は「コンセプトは変わらず、ただ、それに乗せる表現は探していきたい」。渡久地さんの創作の旅は始まったばかりだ。【上村里花】
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