NHKは16日、旧ジャニーズ事務所(現「SMILE―UP.」=スマイルアップ)の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題を巡り、マネジメント業務を引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」のタレントの番組への新規起用を再開する方針を発表した。同日の定例記者会見で稲葉延雄会長が「被害者への補償と再発防止の取り組み、(スマイル社とスタート社)両社の経営分離が着実に進んでいることが確認できた。本日をもって制作現場の判断で出演依頼を可能とする」と述べた。大みそかの紅白歌合戦への出演依頼も含むという。
性加害の事実を旧事務所が認めて謝罪した昨年9月以降、NHKと在京民放キー局5局のうち、NHKとテレビ東京のみが所属タレントの新規起用を取りやめていた。テレ東は今月3日の定例会見で石川一郎社長が起用再開の方針を示しており、NHKの再開で、起用を見送る主要テレビ局はなくなった。
スマイル社は15日、同日時点の被害補償状況をサイトで公表。1000人が被害を申告し、うち510人と補償内容に合意したなどと記した。今月初めにはファンクラブ事業が新しく設立された会社に継承され、スマイル社の藤島ジュリー景子代表取締役が8月までに関連会社4社の会長職を全て退任した。こうした状況について、稲葉会長は「これで全て終わったとは当然考えていない。この問題を巡っては、『マスメディアの沈黙』との指摘があったように、NHKでも当時の認識や対応は十分ではなかったと自省している。引き続き(両社側と)コミュニケーションを密にしながら状況を観察していきたい」と語った。
紅白歌合戦を巡っては、起用見送りの方針に沿って、昨年末は44年ぶりに旧ジャニーズ事務所のタレントの出演はなかった。稲葉会長は「今回、別に紅白歌合戦に向けてどうのこうので判断したわけではない」と前置きした上で、紅白も含めて「制作現場の判断で契約が可能になる」と説明した。【井上知大】
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