熊本地震から8年半、復旧工事が続く熊本城で、地震で石垣が100メートルにわたって崩れ、それが手つかずのまま残っている場所がある。『城内最後の震災遺構』ともいえる場所で、10月3日に崩落石材の回収作業が始まった。

奉行丸西側の一帯で復旧工事始まる

崩落石材の回収工事が始まったのは、天守閣から見て南西側にあたる、奉行丸西側の一帯。奉行丸は細川忠利が入国して以降、奉行所が置かれていて、昭和の後半には屋外のバレーボールコートとしても使われていた場所だ。

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2016年の熊本地震では、石垣約50カ所が崩落。そのうち長さ100メートルにわたって崩落し、それが手つかずのまま残っているのは、この場所だけで地震直後の大規模な崩落を目の当たりにできる、いわば最後の震災遺構だ。

10月3日は『築石』や『控え石柱』など、崩落石材一個一個にワイヤーをかけ、クレーンで回収した。順調にいけば1日100個ほどの石を回収し、年内にはこの作業を終えたあと、2024年3月までに新たな崩落を防ぐための応急措置が施される。

完全復旧は20年以上先の2048年度予定

石材はNHK跡地に置かれ、積み直しを待つことになる。熊本城総合事務所復旧整備課の岩佐康弘課長は「この場所が地震直後の被災状況を色濃く残している、一番まとまった場所。どんどん復旧していく姿とあわせて見ていただけたら…」と話した。

奉行丸西側の石垣の復旧は2044年度、櫓や塀といった建物の復旧は2048年度の予定で、被災前の姿を取り戻すにはまだ長い年月を要する。

(テレビ熊本)

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