グリーフとは大切な人などを失った時に生じる深い悲しみのことを指す言葉です。
そのグリーフに私たちはどう向き合えばいいのか。
誰もがいつかは直面するグリーフの「ケア」について描いたドキュメンタリー映画の上映会が先週末(10月5日)岩手県盛岡市で開かれました。
10月5日盛岡市のプラザおでってで開かれた上映会、60人ほどの市民が訪れました。
上映されたのはドキュメンタリー映画「グリーフケアの時代に」。
瀬戸内寂聴さんに密着した番組などこれまで数々のドキュメンタリーを手がけてきた中村裕監督によるこの作品は病気や事件・自殺など様々な理由で大切な家族を失った人たちが自らが感じた深い悲しみについて語ります。
映画
「娘の死を告げられた後、私は何も感じないし、触ったものも冷たいも熱いも感じない音もはっきり聞こえない」「私が生まれてこなければあの子は生まれなかった。そうしたらあの子があんなつらい思いはしなかったというのはしばらく続きました」
そして悲しみに暮れる人々の話に耳を傾け立ち直りを支援してきた人たちの姿も描かれています。
映画
「泣きたいときは泣いていいんだよ。しばらく泣いていました」
人のつながりが薄れ孤立化が進んでいるとも言われる現代社会で注目が高まるグリーフケア。
互いの喪失感にみんなが自然に寄り添える社会になってほしい、登場人物たちはそんな思いを語っていきます。
映画
「みんなにも起きうることだよと思ってくれる社会・地域になればグリーフケア自体が生活の一部になっていけるような」
上映後には東日本大震災の被災地でグリーフケアに取り組み映画にも登場する宮城県の寺の住職金田諦應さんなどによるトークショーも開かれました。
通大寺住職(宮城・栗原市) 金田諦應さん
「本当に小指一本の力で社会は明るくもなるし暗くもなっていく。一人一人がグリーフケアということを考えるきっかけになればいいのかなと」
映画のメッセージは観客一人一人の心に届いていました。
観客
「誰にも起こるようなこと。自分もそうだったので非常に勉強になった」「3.11で家族が亡くなったり立て続けにあったので傾聴してくれる方の存在が大事だなとすごく分かりました」
中村裕監督
「悲しみの渦中にいる時何もする気力のないような時に他者がどう関わるかということが社会に求められているだろうと。誰かの悲しみにスッと寄り添えるようなちょっとしたことをみんなが積み重ねるようなことにつながっていったらすごくうれしい」
この映画は2023年12月から全国で上映されていて今後も希望に応じて上映されるということです。
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