[やんばるの豊年祭 2024.10.13]
第8回やんばるの豊年祭(主催・沖縄タイムス社、特別協賛・北部振興会)が13日午後5時から、名護市民会館大ホールで開かれる。名護市の数久田区、東江区、川上区、呉我区、金武町の伊芸区、宜野座村の松田区、今帰仁村の湧川区と与那嶺区、大宜味村から謝名城区の計9区が出演し、伝統芸能を披露する。古くから伝わる豊年祭の「手」を受け継ぐ各区が、年に1度だけ一堂に会する機会となる。
今回で終了 「今後は各地へ」
やんばるの豊年祭は今回で終了となる。主催者は「『豊年祭』にスポットを当て、地域の伝統芸能の継続・発展に寄与するという当初の目的は一定程度果たされたと思う」とし、「今後は各地で行われる豊年祭に直接、足を運んでほしい」と呼びかけている。
名護市東江区「長者の大主しゅんどう」 獅子神に神酒供え踊る
名護市東江区(津波一夫区長)は「長者の大主」と「しゅんどう」を披露する。同区の豊年祭は今年で164年の伝統を誇る。旧暦8月13、15、16日の3日間行われる。
名護市東江区の「長者の大主」【長者の大主】 東江の「長者の大主」は、伝染病の魔よけである獅子神に神酒を供えてから物語や踊りを始めるのが特徴的だ。
同区の「しゅんどう」【しゅんどう】 仮面を用いるしゅんどうは、醜女(しこめ)が美女に付きまとい、女は顔ではなく心だよと表現する。「しゅんどう節」「それかん節」「やれこのしい節」の曲で構成する。
宜野座村松田区「上り口説・下り口説」 琉球と薩摩の船旅祝福
宜野座村松田区伝統芸能保存会(島袋澄夫会長)は「上り口説」と「下り口説」を披露する。
松田区には1818年に写本された組踊「本部大主」の台本がある。県内で最も古いものだといわれている。松田の芸能はこの台本を基に今日まで受け継がれている。豊年祭は「八月十五夜あしび」として2年に1度、旧暦八月十五夜の頃に開催される。
宜野座村松田区の「上り口説」【上り口説】 琉球が薩摩の支配下にあった頃、王府派遣の公務出張の際に琉球から薩摩までの旅路となる航海を祝福する踊りで、男性2人が扇を手にして踊る。
宜野座村松田区の「下り口説」【下り口説】 上り口説と対をなすもので、薩摩から琉球まで下る船旅の道行きを表現した内容。男性2人がチーグシ(つえ)を手にして踊る。
今帰仁村湧川区「路次楽・鶴亀」 中国伝来 国王の行列に
今帰仁村湧川区(長田光吉区長)は「路次楽」と「鶴亀」を披露する。
湧川区の豊年祭は「御冠船踊り」の流れをくんでいる。豊年祭に欠かせないものに「路次楽」がある。路次楽は中国から伝来し、琉球国王の行列に取り入れたのが始まりとされている。
今帰仁村湧川区の「路次楽」【路次楽】 世襲相伝とされていた湧川の路次楽は、世襲の宗家の引退に伴い、世襲外の区民が保存会長を務めている。チャルメラに似た吹奏楽器「ガクー」演奏は、スーマキ棒が演武する時の「サーサーガク」「太鼓ガク」「アギガク」の3曲がある。
今帰仁村湧川区の「鶴亀」【鶴亀】 湧川の鶴亀は他地域の「松竹梅鶴亀」とは異なり、松竹梅と鶴亀が独立した演目。二才2人が頭にそれぞれ「鶴」と「亀」をかぶる。両手に扇、赤いタスキと紫の長鉢巻きに脚半のいでたちで、「ソンバレー節」の調べに乗せて踊る。
大宜味村謝名城区「高砂・安里屋」 健康長寿祝う鶴亀や翁
大宜味村謝名城区(平良修区長)は「高砂」と「安里屋」を披露する。
謝名城の豊年祭は来年100周年を迎える。明治時代から行われていたが、大正時代になると、クガニヤマこと玉城金三の手が伝わった。
大宜味村謝名城区の「高砂」【高砂】 松、翁(おきな)、媼(おうな)、鶴、亀が登場して健康長寿を意味する踊り。
大宜味村謝名城区の「安里屋」【安里屋】 謝名城伝統舞踊の一つで、男女の打組み踊り。「湊くり節」と八重山民謡の「安里屋節」の早弾きの2曲で構成。
名護市川上区「亀甲・大浦節」 白ハチマキ結び勇壮に
名護市川上区(金城政達区長)は「亀甲」と「大浦節」を披露する。
操り獅子として知られる川上区の村踊りは明治時代に始まり、1880年代から活発になった。
名護市川上区の「亀甲」【亀甲】 カーミヌクーと読む。男性2人が編みがさをかぶり、チーグシ(つえ)を手にして「亀甲節」で踊る。
名護市川上区の「大浦節」【大浦節】 男性2人が小道具の陣がさを持ち、白ハチマキを前結びにして勇壮に踊る。
名護市呉我区「鳩間節」 リズミカルに踊る女性
名護市呉我区(渡久地豊区長)は「鳩間節」を披露する。
呉我区のムラ踊りは1914年、芝居役者のクガニヤマこと玉城金三により伝えられた。
名護市呉我区の「鳩間節」【鳩間節】 女性4人が法被を着けて、頭に手拭いをかぶり、「鳩間節」の曲に乗せてリズミカルに踊る。
金武町伊芸区「南ヌ島」 独特な奇声発する若衆
金武町伊芸区(島袋義一区長)は「南ヌ島」を披露する。
伊芸区の村芝居は大正時代にいったん途絶えたが、戦後月見(ちちながみ)が旧暦八月十五夜に行われ、平成になり観月祭として上演されている。
金武町伊芸区の「南ヌ島」【南ヌ島】 南方系の民俗芸能で、若衆十数人がドラの音に合わせて三尺棒や六尺棒のパートに分かれ、独特な奇声を発しながら踊る。
今帰仁村与那嶺区「国頭サバクイ」 スルガーを髪に結んで
今帰仁村与那嶺区(島袋艶子区長)は「国頭(くんじゃん)サバクイ」を披露する。
与那嶺区の豊年祭は4年に1度開かれる。豊年祭の舞台は公民館ではなく、アサギ庭のバンク(屋外常設舞台)である。
今帰仁村与那嶺区の「国頭サバクイ」【国頭サバクイ】 サバクイは琉球王府時代の地方役職名「捌理」のこと。踊りはスルガー(シュロの繊維)を髪に結んでかぶった男性6人が踊る。
名護市数久田区打組「かなよー」 男女2組 軽快なリズム
名護市数久田区(宮城弘志区長)は「打組かなよー」を披露する
数久田の豊年祭は1851年から始まった。長い歴史を背景に「数久田流」と呼ぶべき特徴的な舞踊が見られる。
名護市数久田区の「打組かなよー」【打組かなよー】 「花笠節」と「かなよー節」の曲に乗せて男女2組が軽快なリズムで踊る。
前売り券とプログラム案内
各出演区と沖縄タイムス北部支社で
「やんばるの豊年祭」の入場料は、前売りで大人千円、小中高生500円。当日券は大人1200円、小中高生800円となっている。前売り券は各出演区と沖縄タイムス北部支社で販売している。問い合わせは同支社、電話0980(53)3611。
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