ことし2024年5月で結成25年を迎えた4人組オルタナティブロックバンド「ファニーノイズ」。海外のライブやフェスにも積極的に出演しており、その中で育んだ“グローバルバンドネットワーク”を生かして海外バンドを沖縄にも招聘(しょうへい)するなど懸け橋的な役割も果たす。10月には5枚目となる新アルバム「COMET」をリリース予定。結成25年を経てもなお勢いを止めることのない4人に、海外でライブを重ねることへの思いや、他のバンドには類を見ない一風変わった曲作りの方法などを聞いた。
ファニーノイズ
チェンハー(Vo&Ba)、しゃーこ(Gu)、しんくん(Gu)周太郎名人(Dr)。1999年にチェンハーが大学時代のサークルメンバーと共に結成し、メンバーチェンジを経て2008年から現体制に。ロックサウンドを軸にしながらもどこかアジアンテイストが自然と漂う、誰にもまねできない個性が持ち味。
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大学のサークルが起源
ベースボーカルのチェンハー-結成のいきさつを教えてください。
チェンハー 沖縄大学現代音楽サークルで1年の時に女の子4人で作ったのが最初です。
周太郎名人 バンドメンバーは全員変わっています。
チェンハー 卒業後に就職や結婚でみんな続けられなくなって。私は最初、ドラムでした(笑)
-全部変わっていますね(笑) 。現体制になった経緯はどのようなものでしたか?
チェンハー ライブハウスで周太郎のバンドを見て「あ、この人とやりたい」と思って。
周太郎名人 当時は、ドラムって言っていいのかも分からないようなドラムを叩いていました。ドラムに立てているマイクにエフェクター(音を加工する機材)をつないで音を作っていたり。
チェンハー それ見て「なんかいいなぁ。変な人がいるなぁ」って。全身スパンコールの衣装を着ていたんですよ。その後、私からしゃーこに、周太郎からしんくんにそれぞれ声をかけました。
しゃーこ アルバム「Disc shaped my heART」(2007年)が完成した後に私としんくんは加入していて、レコーディングに参加していないのにリリースイベントに出ていました。
海外ライブの魅力とは
ファニーノイズは「Disc shaped my heART」のリリースイベントを2008年に中国・北京でも敢行することとなった。チェンハーに北京留学の経験があり、たくさんの仲間たちや街の魅力を知っていたからだった。それからは13、16,17年に台湾の音楽フェス、14年にヨーロッパツアー、18年に韓国の音楽フェスに出演するなど、大小問わず多くのステージに立っており、国境を意識しない活動を展開している。
ギターのしゃーこ(左)としんくん。親交のある韓国のバンドWedanceのTシャツを着ている。-海外でも積極的に活動していくようになったのはなぜでしょうか?
周太郎名人 もともと、音楽で純粋にコミュニケーションが取れることがいいなと思っていました。特に、中国に行った時には政治的に日中関係が非常に悪かった時だったんですけど、ライブを通して人同士は同じなんだという感覚を広げられている感じがありました。
しゃーこ ファニーノイズを初めて見る人たちが目の前で踊ってくれていました。音楽で友だちが増えていくのが結局一番楽しいかもしれません。
チェンハー バンド同士でみんな対等にいい所や悪い所を言い合ったりするのも刺激があって良いです。
周太郎名人 そういう意味では「洋楽っぽくもないし邦楽っぽくもないし、USロックでもないしUKロックでもないし、なんかアジアの音楽だよね」っていう評価をいただいて、それはうれしかったですね。
しゃーこ アメリカで活動している日本人バンド「THE SUZAN」のメンバーからは、リズムの取り方とかから沖縄を感じると言われました。
特殊な曲作りの方法
-楽曲制作はどのように進めていますか?
しゃーこ 他のバンドとは曲の作り方が全然違うので不思議な感じです。
周太郎名人 テーマを決めてせーので音を出していく感じです。例えばテーマが「麻雀」の曲のときは、麻雀っぽい雰囲気を意識してそれぞれが音を出していきました。メンバー誰も麻雀しないんですけどね。
チェンハー 私がコード理論とかがよく分からなくて、感覚で曲を作っていたんですけど、私が分からないのを考慮してなのか、周太郎が言葉とかテーマで曲のイメージを説明するようになったんですよ。それが始まりです。
周太郎名人 メンバー全員我が強いので、音楽の好みで合わせていくのではなくて、音以外の部分でイメージを共有して、メンバーそれぞれが自分の音楽的バックボーンから自由に音を出していく、という舵(かじ)の取り方です。
しんくん 五感で得た感覚が全部音楽につながっていると思います。
-バンドを25年間継続させる秘訣(ひけつ)はどのあたりにあると感じていますか?
周太郎名人 やっぱり仲がいいですよ。音を出す以外のところで仲がいい。(ジョージ・マイケルの「ケアレス・ウィスパー」の、サックスのイントロを流しながら)これを聴いて「中年男性がバスローブをゆっくり脱ぐシーン」をイメージできるんですけど、こういう感覚をすぐ共有できるんですよ。
ドラムの周太郎名人10月に5枚目のアルバムリリース予定
-10月リリース予定の5枚目となる新アルバム「COMET」で新しくチャレンジした要素があれば教えてください。
しんくん 2枚目まではコーラスやってたんですけど、今回久しぶりに歌っています。みんなで声を出そうと。ギターだけ弾いているより声も出すと、楽器が一個増えて表現力の幅が広がると思います。
チェンハー 私がボーカルだけど、もっとみんなが分担してボーカルをする曲を作りたいです。しんくんが4人の中で一番歌がうまいと思います。
しゃーこ 「COMET」は10月26、27日の「超伝導」というイベントから販売を開始します。沖縄と東京のそれぞれのローカルバンドが行き来し合うイベントで、4人組バンド・ワンチャイコネクションがきっかけになって2022年から始まったものです。私たちも仲間に入れてもらってて、年甲斐(がい)もなく青春を感じています。ぜひ遊びにきてください!
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