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<「自撮り依存症(セルファイティス:selfitis)」という名前が付けられるほど、どうしても最高の自撮り写真を撮りたいと考える人は増えている>
アメリカのある女性がビーチで水着姿になり、「素敵な景色」をバックにおしゃれでセクシーな自撮りしようとしたところ、思いもよらぬハプニングに巻き込まれてしまった。その一部始終が映った動画がTikTokに投稿され、話題になっている。
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その瞬間をとらえた動画をTikTokに投稿したのは、ティファニー・カジガス(@nytif)だ。本誌に語ったところによると、ニューヨーク市に住む30歳の会社員で、副業でカメラマンをしているという。
話題となっている動画には、次のようなキャプションがついている。「私の考え:スマートフォンを砂の上に置いて動画を撮ろう」。そしてキャプションはこう続く。「海の考え:いいよ。でも、愉快な動画にしよう」
撮影日は5月15日。場所は、メキシコのバハ・カリフォルニア半島南端にある都市カボ・サン・ルーカスの浜辺だ。動画には、ビキニ姿のカジガスが波打ち際を歩くシーンに続いて、砂浜に立って海を眺める姿が映っている。
「私はただ、きれいな景色をバックにした自分の動画を撮りたいだけだった。でも、夫がリゾートホテルに残っていて私はひとりきりだったので、ビーチサンダルを支えにして(撮影用の)スマートフォンを砂の上に置いた」とカジガスは話す。
動画では、次の瞬間に大きな波が押し寄せてきて、カジガスが足を取られて砂の上に倒れ込むと同時に、砂の上に立てかけていたスマートフォンが波にのまれる様子が映っている。
スマートフォンのカメラは、撮影を停止することなく水中を映し続けており、幻想的な映像が続いていく。エメラルドグリーンの海の水面から、ときどき太陽光が海水や砂の混じった波を貫くように差し込み、画面全体が明るい黄金色に染まる。
「自撮り依存症(セルファイティス:selfitis)」という精神疾患
カジガスはただ、「キュートな演出を試みた」だけで、自分を被写体にした最高のシャッターチャンスを必死になって狙ったわけではない。しかし現代には、最高の自撮り写真をどうしても撮りたいと考える人がたくさんいる。その原因は、「自撮り依存症(セルファイティス:selfitis)」という正真正銘の精神疾患だ。2020年3月に『IOSRジャーナル・オブ・デンタル・アンド・メディカル・サイエンス』で発表された研究は、そう指摘している。
同研究によると、「自撮り依存症」という用語が誕生したのは、2014年に広まった悪ふざけのデマがきっかけだった。そのデマとは、米精神医学会(APA)が「『自撮り依存症』という新しい精神疾患の基準を確立した」という内容だ。
それ以降、「自撮り依存症」現象は、何度か研究対象になってきた。2018年に医学誌『インターナショナル・ジャーナル・オブ・メンタルヘルス・アンド・アディクション』で発表された研究論文もそのひとつだ。
その研究では、自撮り依存症を招く根本的原因として6つが挙げられている。つまり、「環境的な向上(気分向上、自己表現、良い思い出作り)、社会的競争、関心集め、気分変化、自信、社会的適応」だ。
スマホを見つけ出してくれた地元の海水浴客
カジガスが投稿した動画の撮影に使われたのは「iPhone 14 Pro Max」で、彼女が本誌に語ったところによると、「防水ケースには入っていなかった」という。カジガスによれば、波に足を取られて倒れたあと、すぐに立ち上がってスマートフォンのほうに走っていった。しかし、「スマートフォンは見えたけれど、拾えなかった」そうだ。
そこでカジガスは、泳ぎに来ていた地元の人に助けを求めた。何が起きたのかを説明し、「探してほしいと頼んだ」。その男性が、シュノーケル用の水中メガネを持っていたのが見えたからだ。カジガスはこう説明した。「2分もかからずに見つけてくれたと思う。幸い、背面保護用のキャップが金属製だったため、砂だらけになっていてもすぐに見つけてもらえた」
カジガスによると、スマートフォンで撮影された動画は全部で34分間だった。彼女が砂の上に置いたところから始まり、その地元男性が発見して彼女に手渡すところまで続いているという。
スマートフォンは、海中から拾い上げた後もしばらくスイッチが入っていたが、20分間ほど「画面が白く」なって、最後には完全に画面が死んでしまったという。その後、宿泊先のリゾートホテルでもらった生米の中にスマートフォンを入れて、24時間以上放置して乾かそうとしたが、「効果はなかった」そうだ。
「ニューヨークに戻ってから、非正規の修理業者に持って行って、スクリーンを交換してもらった。いまは問題なく動いている」と、カジガスは話している。
(翻訳:ガリレオ)
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