大阪府の咲洲庁舎地下駐車場に、ビニールシートをかけられて置いてあった美術作品。問題発覚後、別の府有施設に移された=大阪市住之江区で2023年7月、山田夢留撮影

 大阪府が所蔵する美術作品を地下駐車場に置くなど不適切に扱った問題で、府は25日、作品の活用や保全を検討する専門家チーム(座長、山梨俊夫・前国立国際美術館長)の最終報告を公表した。作品の継続的な管理のために府に新たな体制を整備し、現在は不在となっている学芸員を配置する必要性を指摘。地下に置かれていたものをはじめ劣化した作品については修復計画をつくり、必要な予算を継続的に確保するよう求めた。

 最終報告では、府が咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の地下駐車場に6年間にわたり置いていた105点の作品について、昨年9月に暫定移管された府有施設ではなく、今後も安定して保管できる場所の確保を要求。作品を継続的に管理していくため、2025年度に府職員をリーダーとする体制を文化課内に敷くよう求めるとともに、20年度以降ゼロだった美術を専門とする学芸員を適切に配置すべきだとした。また、この報告を基に、中長期的なコレクションの活用・保存方針を整備すべきだとも指摘した。

 地下に置かれていた作品は、悪環境や不適切な扱いが原因で劣化が進んでいたことが1月の中間報告時に指摘されていたが、2月に専門家が改めて調査した結果、さびの除去などを行えば展示可能な作品がある一方で、大きく変形したりカビが発生したりしている作品もあったことが指摘された。

 府は1980年代末の新美術館構想に合わせ、約7900点の美術品を収集。財政悪化で01年に計画を中止後、大型の彫刻作品などが行き場を失い、23年7月、うち105点が地下駐車場に置かれていたことが明らかに。駅や学校などに長期間展示され劣化した作品があることも分かり、府は専門家らでつくる「アート作品活用・保全検討チーム」を同8月に設置。コレクションの展示や保管のあり方を検討していた。【山田夢留】

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