○オリックス5―1日本ハム●(13日・京セラ)
試合後のヒーローインタビュー。オリックスの頓宮裕真は言葉を詰まらせた。「いろんな人が声をかけてくれた。感謝でいっぱい」。この試合まで22打数1安打、打率0割台と苦しんでいた昨季のリーグ首位打者が、1号2ランを含む2安打3打点と、ようやく本領を発揮した。
前日はベンチを外れて2軍戦に出場していたが、「ふがいない成績なのにスタメンで出していただいた。1打席が勝負だと思って死ぬ気でいった」と背水の陣で臨んだ。
二回2死二、三塁の第1打席。低めのフォークボールに体勢を崩されたが「無我夢中」で押っつけると、打球が右翼手の前で弾んだ。3月30日以来となるヒットは、今季初打点となる右前適時打だ。「ホッとした」と硬さが取れると、七回には試合を決定付ける右翼ポール際への2ラン。外角球を流し打つ、頓宮らしい一発だった。
中嶋聡監督が「いつもはうるさいぐらいしゃべる」と評する明るい27歳が沈んでいた。状態はそれほど悪くないのに、結果が付いてこない。焦りが募り、自分を見失いかけた。
力をくれたのは周囲の人たちだ。心配したスタッフやチームメートが練習に付き合い、「まだ始まったばっかりだ」と励ましてくれた。「目先のことばかり見ていた。みんなの声かけで本当に助かった」。期待に応えようと休日返上でバットを振り、トンネルを抜けた。
頓宮は「まだまだ、これから打てるように頑張りたい」。昨季一躍ブレークし、真価が問われる今季。主役の座を取り戻す。【石川裕士】
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