サッカーの第103回全国高校選手権に「ヒガシ」が3年ぶりに戻ってくる。過去3度の全国制覇を誇り、日本代表選手も輩出する東福岡も近年は県大会決勝で苦杯をなめてきた。復活のキーワードは「基本」だ。
2年連続で選手権出場を逃した後の昨年12月、チームは20年ぶりに監督が交代した。OBの平岡道浩監督がコーチから昇格すると、「基本的なことをコツコツと」と体と心への抜本的な改革が始まった。
まずは体。飯塚にいずれも0-1で敗戦した過去2年の県大会決勝を平岡監督は「パワー、スタミナで圧倒された」と振り返る。体力や筋力を上げるため、走り込みなど心肺機能を高めるトレーニングを毎週水曜日に実施。週末には、Jリーグのユースチームも参戦するU18(18歳以下)年代の国内最高峰、高円宮杯U18プレミアリーグの試合をこなした。平岡監督は選手たちに「キツい中でどれだけテクニックを出せるか」を求めた。
高い負荷をかけ続けた選手たちの体には変化が起きた。柴田陽仁主将(3年)は「県大会では(他チームには)途中で足がつっている選手もいたけど、自分たちは誰もつることがなかった。それは、このトレーニングのおかげだなと思っています」と実感を込める。実際に、東海大福岡との決勝での2得点はいずれも後半に生まれた。足が止まりそうな時間帯に決めきり、選手権への道をつなげた。
そして、メンタル面へのアプローチ。2年間選手権から遠ざかり、選手権を知る選手はいない。選手たちの「絶対に全国に行きたい」という気持ちが膨らむ一方で、その気持ちは空回りしかねない。平岡監督は「どうしても緊張してしまう。準備の仕方で変わってくる」と、県大会前から、メンタルコーチに依頼し、選手に試合の挑み方や準備の仕方について説いてもらった。
心身の成長でたどり着いた舞台に「どこまでできるのか、楽しみでしかない」と平岡監督が不敵な笑みを浮かべれば、柴田主将も「楽しみな気持ちがある」と言う。初戦は29日、さいたま市のNACK5スタジアム大宮で尚志(福島)と対戦する。【丹下友紀子】
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