柔道の全日本選手権で優勝し、天皇杯を手にする中野寛太=29日、日本武道館(水島啓輔撮影)

29日に行われた柔道の全日本選手権は23歳の中野寛太(旭化成)が初優勝した。8年ぶりに復活した旗判定にもつれ込んだ決勝戦。自らの勝利を示す赤い旗が2本上がったのを確認すると、中野は喜びに酔いしれた。「1年間優勝するために頑張ってきたので、報われたかな」。畳を降りるとガッツポーズし、日本一の称号をかみしめた。

決勝の相手は2016年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪代表の原沢久喜(長府工産)。今大会からのルール変更で決勝は8分間の長い勝負となり、序盤は探り合う展開が続いた。中野は支え釣り込み足や小内刈りなど要所で技を仕掛け、終盤にギアを上げてきた原沢の猛攻をしのいで僅差で制した。

強豪の天理大出身者としては現監督の穴井隆将氏以来11年ぶりの頂点。今月7日の全日本選抜体重別で初戦敗退した後、穴井監督に1週間付きっ切りで稽古を見てもらった。「全日本は甘くないよ」と発破をかけられながら心身ともに鍛え直し、「それが自信になった」と口にした。

100キロ超級のパリ五輪代表で今大会は出場しなかった斉藤立(JESグループ)は1学年下で幼少期から競ってきた。「意識しないといけない選手。どんどん挑んでいきたい」。大きなタイトルをつかんだ23歳は「世界選手権やロサンゼルス五輪を目指して頑張りたい」と決意を新たにした。(大石豊佳)

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