ラグビー関東大学対抗戦 ◇○早稲田大27―24明治大●(1日、東京・国立競技場)
記念すべき100回目にふさわしい名勝負が、「早明戦」の歴史に刻まれた。4万人超の大観衆の中で早大が勝利をつかむカギとなったのは、最終盤での守備だった。
明大に3点差に追い上げられての後半ロスタイム。1トライで逆転を許す状況で、明大が得意のラインアウトモールを仕掛けてきた。苦しい展開に見えたが、早大のフッカー佐藤健次主将(4年)は「この状況を楽しんでいた」と明かす。
「モールになった瞬間、(チームメートに)『最後はディフェンスだ』と声をかけた。あまり慌てることはなかった」
ここから明大にゴールラインの数メートル手前まで迫られたが、粘りの守備でそれ以上の前進を食い止めた。最後の望みをかけてサイドに展開してきた明大に対し、SO服部亮太とWTB田中健想の1年生コンビが懸命に体をぶつけ、相手のボール保持者をタッチラインの外に押し出した。
田中は「自分の前にボールが来たら、『とにかく絶対に止めて(相手を外に)出す』と常に狙っていた」。ここで試合終了の瞬間を迎え、早大が6年ぶりの対抗戦優勝を7戦全勝で決めた。
日本代表のFB矢崎由高(2年)をはじめ多くのタレントをそろえ、攻撃力に目が行きがちだが、今年多くの時間を費やしたのはディフェンス強化だったという。その理由の一つが、FWの強さを伝統とする明大の存在だ。大田尾竜彦監督は「彼らに勝つにはディフェンスの整備やセットプレー、フィジカルの強化が必要だった」と振り返った。
1923年に始まった両校の対決。矢崎は「僕の人生の5倍くらいある伝統の試合に出られて光栄」と振り返った。100年超の歴史を背負った選手たちが80分間、魂のこもったプレーを見せ続けた。【高野裕士】
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