ドジャースの大谷翔平選手は日本時間28日、ブルージェイズ戦に出場しました。ブルージェイズの先発は菊池雄星投手で、岩手・花巻東高校の先輩後輩対決となりました。そして、カブス・今永投手の快進撃の秘密について、古田敦也さんが解説します。
■花巻東高の先輩 菊池投手と日本人対決
「花巻東対決」 写真:AP/アフロ この記事の写真花巻東高の先輩である菊池投手は安定感抜群です。切れ味鋭いカーブに、150キロを超えるストレートを投げます。直近3試合は「クオリティ・スタート(先発で6回以上・3自責点以内)」を達成しています。
共に好調な2人の対決。今シーズンはこの1試合だけです。対戦成績は、大谷選手が3割3分3厘で先輩の菊池投手を打っています。
1回表、ランナー3塁で迎えた大谷選手の第1打席。初球は157キロのストレートでストライク、2球目もストレートを空振り。そして3球目、今シーズン最速の158キロをファウル。追い込まれた後の5球目、強い打球もセカンドゴロに倒れます。
ドジャース2点リードの2回表、大谷選手の第2打席もランナー1,3塁のチャンスの場面で回ってきます。2ボール2ストライクからの4球目、一二塁間を抜くタイムリーヒット。打球速度は192キロ、自己最速を更新しました。
4回表の3度目の対戦では、ストレートを打たれた菊池投手が変化球を中心に攻めてきます、2ボール2ストライクからの5球目、カーブで空振り三振。菊池投手はタイミングを外し、大谷選手はヘルメットが脱げるほど体勢を崩されました。
最後は先輩の菊池投手が意地を見せましたが、今シーズン最初で最後の対決は大谷選手の3打数1安打1打点でした。
一方、菊池投手は5回・6回を三者凡退に抑え、5連勝中のドジャース打線相手に粘りのピッチング。6回91球4失点でマウンドを降ります。
ベッツが盗塁成功 写真:アフロ試合は9回表、ここまで2安打の1番・ベッツ選手がセンター前ヒットで出塁します。この試合3安打でリーグトップの打率3割9分1厘となり、絶好調です。
そして、大谷選手の第5打席。一塁ランナーのベッツ選手がスタートし、盗塁成功。1アウト、得点圏の二塁にベッツ選手。大谷選手の左中間への当たりは、フェンス際で追い付かれ、レフトフライ。大谷選手は5打数1安打でした。
試合は4対2でドジャースが6連勝。2試合連続で先発全員安打を記録するなど、ドジャースは絶好調です。
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■元オリックス…山本2勝目 吉田は日米通算150号■元オリックス…山本2勝目 吉田は日米通算150号
吉田選手 日米通算150号 写真:アフロレッドソックスの吉田正尚選手は21日、パイレーツ戦に5番指名打者で出場。右中間への打球は伸びて、日米通算150号ホームラン。今シーズン2度目のマルチヒットも記録しました。
2勝目を挙げた山本投手 写真:AP/アフロドジャースの山本由伸投手は26日のナショナルズ戦で、6度目の先発。今シーズンの全12失点は3回までと、立ち上がりが課題です。
対するは、オリックス時代のチームメイト・3番メネセス。ストレートで見逃し三振を奪い、1回を三者凡退に抑えます。
山本投手は2回以降、スプリットをストライクゾーンギリギリの低めに集めます。バッターも四球と思ったのか、一塁へ歩いて腰を低くするリアクションを見せました。
ヒヤリとしたのは5回裏。打球速度約169キロのピッチャー返しを山本投手がスーパーキャッチ。場内からは拍手が贈られました。
山本投手はその後、連続三振に抑え、6回無失点で2勝目を挙げました。28日時点の防御率はメジャー初登板後の45.00から、3.54まで下がりました。
山本投手「コントロールの部分はすごく気を付けて、変化球もストライクゾーンに投げられていたので、ここまでの中では一番自分らしいピッチングだったと思います」 「(Q.ピッチャー返しの瞬間の反応は?)気付いたら、ボールがもう目の前にあったので、たまたま反応できました」 「(Q.その後、マウンドで何を話していた?)あまり言えないような内容でした」 ロバーツ監督
「彼はもう少しで死ぬところだったと言っていたよ」
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■今永“SHOTA!ボーイズ”にプレゼント■今永“SHOTA!ボーイズ”にプレゼント
マーリンズ戦で3勝目 写真:AP/アフロカブスの今永昇太投手は、21日に行われたマーリンズ戦に先発しました。
試合前の防御率は0.00。この日も安定したピッチングを見せました。3回までに許したヒットはわずか1本で、無失点に抑えます。
しかし4回表、連続タイムリーを浴び2失点。デビューから続いた自責点ゼロは18回2/3で、ついにストップです。
それでも味方の援護を受け、粘りのピッチングを見せた今永投手。6回5奪三振3失点で、3勝目を挙げました。
半袖姿の今永投手 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ今永投手はある応援団にTシャツをプレゼントしました。
日本時間8日、気温9℃の寒空のなか、半袖姿で登板した今永投手に対して、上半身裸の体に「SHOTA!」と書いて応援していた6人組、通称“SHOTA!ボーイズ”です。
このファンと今永投手は初対面しました。
今永投手「きょうは脱いでいないんですね」
特製「SHOTA!Tシャツ」をプレゼントした今永投手は、次のように話しました。
今永投手「このTシャツは別に僕は着ろって言ってないので、別に裸で応援してくれても構いません」
すると、6人はそのTシャツを着て試合を観戦します。しかし、結局脱いでしまった“SHOTA!ボーイズ”。Tシャツの下には、しっかりボディペイントを仕込んでいました。
今永投手は27日のレッドソックス戦に先発しました。立ち上がり、ライナー性の当たりをナイスキャッチ。山本投手に負けじとナイスフィールディングを見せると、高めのストレートで空振り三振を奪います。この試合は、高めのストレートが冴えていました。
4回表、今永投手は相手選手のバントにすかさず反応し、グラブトスでアウトを取ります。
そして3点リードの6回表、ここも高めのストレートで空振り三振を奪い、2アウト。しかし、その後一塁二塁となり、1発出れば同点のピンチを迎えますが、7個目の三振を奪います。すべての三振を空振りで奪いました。
今永投手は7回途中7奪三振1失点で、メジャーデビューから負けなしの4連勝です。
今永投手「本当に上手く行きすぎているところがあるので、今は信頼を築いている状態なので、この信頼を一気に崩さないようにやりたい」
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■今永快進撃の秘密「高めの直球」古田さんが解説■今永快進撃の秘密「高めの直球」古田さんが解説
今永投手 好調の理由 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ(Q.今永投手は27日時点で、5試合に先発し、4勝0敗。防御率は0.98を記録しています)
古田さん「本人も不安だったと思うので、まだまだ分からないところで、本人も驚いてると思いますけど、素晴らしい記録だと思いますね」
(Q.好成績の要因は?)
古田さん「やはり、なんといってもストレートだと思いますね。質の良いストレートの回転数が非常に良いです」
「もちろん、落ちる球も投げますが、ストレート平均回転数は、MLB全体では2288回で、今永投手は2412回です。これは100回転以上高いです。この数字は凄いです」
「『ホップ成分』と呼ばれる浮き上がるボール。これは、バッターにとって本当に浮き上がって見えるぐらいのストレートで、気持ちいいです。ピッチャーにもバッターにもストライクに見えますが、どうしても振ってしまう球ですね」
(Q.今永投手は高めへの投球割合が増えているということです。昨シーズンまでは33%、今シーズンは40%台に乗っているということです)
古田さん「もともと日本では得意のボールだったんですけれども、アメリカに来てもっと有効的に使っているということですね」
今永投手は、自身のストレートについて、次のように話していました。
今永投手「僕の低めの真っすぐは、あまり大したことない真っ直ぐなので。バッターからしたら、高めに来ないようなフォームで高めに来るので、思わず振ってしまうっていうのを僕は狙って投げているので」
「『真っすぐを投げ出す角度がすごくユニークだ』と言ってもらっていて、肘が低いところから高めに投げることによって、バッターの軌道が合いづらい」
(Q.ユニークな軌道とは?)
古田さん「今永投手はメジャーリーガーとしては身長は低めの178センチです。そして、メジャーではリリースポイントがやはり低いです。(今永投手は)この低め(のリリースポイント)から高めに投げてくる。リリースポイントが低いピッチャーはメジャーにもいます」
「でも、それは大体スリークォーター、サイドハンドのピッチャーなので、サイドスピンがかかります。今永投手は上から投げてるので、『ホップ成分』が高いように見える。低いリリースポイントから高い球を投げるピッチャーが少ないです」
「メジャーのスイングを実演させてください。数年前から、メジャーではトレンドになってる『フライボール革命』は、フライを打った方が得点力が上がるのではないかと言われています」
「今、メジャーのバッターはだいたい肩を下げて、右ひじでフィニッシュする打ち方をします。日本でいうアッパースイングで打つバッターが多いです。このアッパースイングが当たれば飛びますが、弱点がありまして、やっぱり高めのボールを打ちにくいです。下から(バットを)出すので、打った時にボールが上を通ることが多いです」
「つまり、このバッティングは非常に緩い球には良いですが、速い高めの球は苦手です。そこを分かっているので、本人(今永投手)特有の球で高めにどんどん行ってますね」
「球場は、やはり日本では打たれた時に、どうしてもフライに上がりやすい。日本の球場はちょっと狭いので、そのままホームランになる確率が高いです。だから、どちらかというと『低めに投げなさい』と日本ではよく言われますが、メジャーの球場はやはり広いです。だから思い切って、彼の良さをよく使えていると思います」
(4月28日放送「サンデーLIVE!!」より)
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