2位でフィニッシュし肩を落とす積水化学のアンカー・森智香子(右)=弘進ゴムアスリートパーク仙台で2024年11月24日、渡部直樹撮影

全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝、24日・宮城県松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台)

2位=積水化学(千葉)2時間14分21秒

 日本代表経験者を全区間に擁し、優勝候補の大本命だった積水化学はまさかの2位で連覇を逃した。

 前半は快調だっただけに、最終盤での逆転負けに、レース後の主軸選手の多くは言葉少なだった。最終6区の森智香子はフィニッシュ後に倒れ込み、チームメートに抱きかかえられながらグラウンドを後にした。しばらくして野口英盛監督から声をかけられると、涙が止まらなかった。

 5区の新谷仁美が4キロ過ぎで、先頭の日本郵政グループ・鈴木亜由子を追い抜いてトップに立つまでは順調だった。しかし、鈴木を突き放せず、最後は競り負けて、2位でたすきをつないだ。野口監督は「(次回出場予定の)マラソン練習の疲労もあり、状態は良くなかった。結果には本人も納得していないと思う」と無念の思いを代弁した。

 リードを奪っていれば、新谷がさらに差を広げる。たとえ劣勢に立たされても新谷で逆転する――。それが、国内長距離界をけん引する新谷を後半の5区に起用する最大の理由だ。しかし、「必勝パターン」が崩れ、チームには少なからず動揺が広がった。

 6区の森は序盤から加速し、一時はトップを奪い返した。しかし、突っ込み気味に走った影響か、中盤は思うようにリードを広げられなかった。その隙(すき)を突かれ、最後は日本郵政・太田琴菜に逆転された。

 「終盤に『ほころび』があったことで、(チーム内に)不安が走った」。選手からそんな声も漏れた。

 ベテランが苦しんだ一方で収穫もある。入社3年目の1区・田浦英理歌、2年目の2区・山本有真の若手が前回に続き前半のレースを引っ張ったことだ。

 山本は「自分では流れを作ったつもりだったが、年長の方々に頼りすぎていた部分もある」と振り返った。山本らは今後、チームの中核になっていく選手たちだ。自らの走りに手応えを得つつ、今回の2位はチームを引っ張るという自覚をさらに促す結果になった。

 チームは女王奪還に向け、また一から出直しとなる。野口監督は「来年の世界選手権に出たい選手もいる。個人目標を達成できるチームを作りながら、この駅伝での悔しい思いを皆でどうぶつけるかが大事だ」と語った。【高橋広之】

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