高校野球秋季東京大会決勝(7日・神宮球場)
○二松学舎大付6―5早稲田実●
延長タイブレークになってもスコアボードに「0」が並んだ。裏の二松学舎大付は堅い守備でピンチを耐え続け、歓喜の瞬間が訪れたのは十二回だった。
タイブレークは無死一、二塁でスタートし、先頭打者の7番・熊木涼太は冷静だった。「(バントを想定して)一塁手と三塁手が前に出てくるのは分かっていたので、『ゴロを転がせ』という指示だった」。バットを指1、2本分短く握ると、狙い通り、初球をたたきつけて三遊間を破った。
だが、続く打者は浅い右飛で三塁走者は還れなかった。次に打席に向かったのは途中出場していた1年生の9番・根本千太郎だ。
「絶対に決めてやる」。1ボール、1ストライクからの3球目。相手投手が投げる瞬間にバントの構えを見せると、一塁側にきっちり転がし、サヨナラ勝ち。ホームベース付近で歓喜の輪ができた。
二松学舎大付が放った計14安打のうち10本が内野安打。中軸でもたたきつけるようなコンパクトなスイングで好機を作り、最後に試合を決めた10本目の内野安打はバントだった。まさに食らいついた先に21年ぶりの頂点が待っていた。【高橋広之】
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