小学6年生の“相撲男子”が、元力士の父と二人三脚で目指すのは「大相撲」。
【動画】元力士の父と目指す「大相撲」 自宅で妹とこなす鬼のトレーニング 父のちゃんこを食べて40キロから88キロに
■大相撲の力士だった父 息子を強くするため厳しい指導
この記事の画像(12枚)父・窪田清盛さん:誰がそんな相撲取れって言ってるんだよ。それで勝てんのかよ、試合。
稽古場に響く、父の厳しい声。そして、限界まで自らを追い込む息子。 2人が目指すのは…。
窪田悠希くん:大相撲に入って、関取になって、家族に恩返ししたいです。
窪田悠希くん(12歳)。小学校6年生ながら、身長168cm、体重88kgと、堂々とした体格だ。
相撲を始めて6年。多い時は1日300回、家で毎日、四股を踏んでいます。 悠希くんが住む滋賀県に、少年相撲クラブはたった1つ。家から遠く、実際に土俵で稽古できるのは、月に平均1度しかない。
父・窪田清盛さん:動きが固いんだよ。体重移動してスムーズに。
悠希くんを指導するのは父・清盛さん。 清盛さんは大相撲の元力士。15歳で入門し、最高位は幕下28枚目。関取に上がることなく、23歳の時に、膝のけがが原因で引退した。
父・窪田清盛さん:『基本が大事』ってよく言うけど、辞めてから気づく。自分は基本が大嫌いだったので。
窪田悠希くん:最初は相撲やるの嫌いでした。怖いし、痛いし…
2年前までは体も大きくなく、試合や稽古場でも、勝てない日々が続いた。 小学生で相撲は終わり。そんなことを考えた時期もあった。
しかし…
窪田悠希くん:相撲が好きになった。石崎先生に憧れて。コーチとして来てくれて。胸出してもらったら、ビクともしなかった。
石崎さんは新大関・大の里と大学の同級生。教師を経て、今年、高砂部屋に入門した。
窪田悠希くん:体つきが筋肉質で、立ち合いが鋭いところが(かっこいい)。超えたい気持ちはあります。お父さんと石崎先生。もうこれ以上、負けたくない。大相撲に入って、関取になって、家族に恩返ししたいです。
父・窪田清盛さん:大相撲に行きたいって言って。まあ、正直うれしい気持ちと『無理、無理』っていう気持ちの半々で。まあ、『やめとけ』って言いました。やっぱり厳しい世界だし。
父・窪田清盛さん:やるからには厳しくするよと。ちょっとでも情けないこと言ったら、もうやめろって。相撲いつやめてもいいよって。その代わりやめたら勉強しなきゃだめだって。自分の夢を叶えるために努力するか。結局、形が違っても何かで努力しないといけないんで。
■大相撲直伝の「ちゃんこ」で体作り
大相撲という目標ができてからは、メキメキと成長。大会でも結果を残せるようになったのです。 そのワケの一つは、体作り。大相撲直伝の父の手料理です。
父・窪田清盛さん:(相撲)部屋のちゃんこを再現している。
野菜も肉もふんだんに入った「塩ちゃんこ」。大好きだったお菓子やジュースをやめて、食生活を徹底的に見直した。相撲は食べることも稽古。満腹になってからでも、食べ続けてきた。そのかいあって、2年前には40キロだった体重も、今では88キロまで増えた。
相撲に関してはストイックな悠希くんも、普通の小学生。姉と妹と一緒にゲームをする時は、楽しそうな笑顔を見せる。そして3年生の妹の前では、心優しいお兄ちゃん。そんな悠希くんは、小学校でも人気者だ。
■“理想の相撲”を目指して 中学生相手に「全勝」
この日は月に1度の相撲教室での稽古。朝6時に起きて出発する。父・清盛さんの運転で、片道1時間半かけて長浜市にある道場へ向かう。
窪田悠希くん:横綱にもらったまわしです。気持ちがなんか、特別感というか。
今年の6月、伊勢ケ浜部屋の合宿稽古に参加した時に、横綱・照ノ富士にもらったまわしだ。
この日の稽古の相手は中学生。
父・窪田清盛さん:右の手、何してんだよ。
土俵の外に寄り切り、 勝つには勝ったが、課題に掲げた「前に出て相手を押し切る」という理想の相撲を取れず、厳しい言葉が飛ぶ。
父・窪田清盛さん:誰がそんな相撲取れって言ってるんだよ!勝ち負けじゃねぇって言ってんだろ。それで勝てんのかよ、試合。自分の相撲がどういうのか言ってみろ。今、何してんだよ。まわし取りにいってるんじゃねぇか、突けよ。
父・窪田清盛さん:悠希の立ち合いは上に立ってんだよ。上でこんなことして、効くわけない。ガツンと頭で当たって、手伸ばせよ。
清盛さんの“げき”が効いたのか、悠希くんは、立ち合いで強く当たって前へ出る“理想の相撲”ができるようになった。
父・窪田清盛さん:いい相撲取れるじゃねえか。それだよ。忘れんなよ。今の良かったよ。
この日とった相撲は全部で10番。去年までは勝てなかった中学生相手に全勝だ。しかし、1カ月ぶりの実践稽古ということもあり、体力が続かない。
■小学生として最後の地元・関西で行われる大会へ
大相撲を目指す親子だが、 相撲を離れれば仲良しだ。
窪田悠希くん:普段は優しいです。普段の私生活とか、めちゃくちゃ緩い。
父・窪田清盛さん:緩い?厳しくした方がいい?
窪田悠希くん:いや、そのままがいい。デザートとか余ってたらくれる。
父・窪田清盛さん:それ、あまり優しいって言わなくない?
10月27日、大阪・堺市の大浜公園相撲場。
窪田悠希くん:一番、一番、集中して、優勝目指してがんばります。
悠希くんにとって小学校生活最後の地元・関西で行われる大会。全国から集まった男女およそ300人が、学年別に分かれて頂点を目指す。去年、5年生の部で3位だった悠希くん。目指すは優勝だ。
父・窪田清盛さん:慌てるなよ。やばいと思ったら止まって、落ち着け。
初戦を突破し迎えた2回戦。 前へ前へ…。気がはやってしまい、相手の引きにはまった。悠希くん、悔しさのあまり涙を流した。
窪田悠希くん:悔しいです。“自分の相撲”が取れなかった。
父・窪田清盛さん:心優しいのはいいんですけど、それが相撲に出ちゃうと勝負にならないですよね。だから、あえて厳しいことを言って、心を鍛えています。
夢の大相撲へ。父子二人三脚で、自分たちが目指す“相撲道”を突き進む。
(関西テレビ「newsランナー」2024年10月29日放送)
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