【米子松蔭-広島商】五回裏広島商1死二、三塁、中前に詰まりながらも同点適時打を放つ名越貴徳=島根県立浜山公園野球場で2024年11月4日午後0時24分、深野麟之介撮影

高校野球秋季中国大会決勝(4日・島根県立浜山公園野球場)

○広島商(広島1位)6―3米子松蔭(鳥取2位)●

 春夏通算45回の甲子園出場を誇る広島商。「4番」のイメージを、1年生にしてそこを任されている名越貴徳は「勝負強さ」と語る。その理想通り、バットでチームを実に31年ぶりとなる頂点に導いた。

 米子松蔭の先発・新里希夢(のあ)は、キレのある直球を低めに集める制球力が持ち味。だから名越は「真っすぐより、高めに浮いた変化球を待つ」と決めていた。

 狙い通りだった。一回2死二塁、3球目の甘く入ったスライダーを左翼席にたたき込んだ。貴重な先制2ラン。「自分の役目は打点を稼ぐこと。打てて良かったです」。右手で小さくガッツポーズしながらダイヤモンドを一周した。五回1死二、三塁では、詰まりながらも中前にしぶとく運ぶ同点打を放つ勝負強さを見せた。

 思い切りの良さを買われ、今秋から4番に起用されている。「明るい、野球小僧みたいな感じ」。荒谷忠勝監督は名越の人柄をこう評する。

 決勝前日も、チームメートが試合に備えて早めに寝ようとする中、宿舎の駐車場で一人素振りを続けていたという。荒谷監督は「そういうことが自分からできる。とにかくバットを楽しく振れる選手です」と目を細める。

 粗削りなところはあるが、伸びしろも大きい。「一生懸命に振るだけで終わっている。どんなピッチャーにも対応できるバッターになってほしい」。荒谷監督が期待を寄せれば、名越も「チャンスでは全部打ちたい」と力強い。結果と自信を得て、自らが思い描く「広商の4番」に一歩近づいた。【深野麟之介】

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