◯ヴィッセル神戸2―0ジュビロ磐田●(1日・ノエビアスタジアム神戸)
その時間、およそ13秒。神戸の「高速カウンター」がさく裂した。
両チーム無得点で迎えた後半開始直後。自陣タッチライン際で、相手のボール保持者に3人で圧力をかけて追い込んだ。苦し紛れに出したパスを、その先にいたMF井手口陽介がカットした。
FW宮代大聖がボールを運び、素早くカウンターを開始。パス交換を経て、井手口が最前線のFW大迫勇也へつないだ。大迫は相手DFを背負いながらボールを収めて時間を作ると、そのまま裏へ抜け出していた宮代へラストパス。宮代は間合いを詰めてきた相手GKの位置を冷静に確認し、ふわりと浮かせた。今季加入した24歳のアタッカーの自身初となる10得点目で、美しいカウンターを完遂させた。
残留に向けて勝ち点を積み上げたい磐田の狙いは明確だった。最終ラインに5人を並べて神戸の攻撃を無力化させようとした。前半は手を焼き、無得点に終わった神戸だったが、好機で複数選手が連動し、陣形が整う前の速攻で仕留めた。
激しい優勝争いが続く中で、前節のFC東京戦では0―2で敗北。連勝が6で止まった。それを教訓にチームを引き締め直し、攻守に高い強度を誇る「らしさ」を取り戻した。
暫定ながら首位に浮上し、覇権を狙う他クラブにプレッシャーをかけた。吉田孝行監督は「残り3試合、とにかく自分たちは勝ち続ける。目の前の試合に集中してやっていきたい」と表情は変わらない。「一戦必勝」。昨季に得た頂点の経験もアドバンテージになる。【生野貴紀】
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