第49回社会人野球日本選手権(29日~11月9日、京セラドーム大阪)に出場するヤマハは第5日の11月2日、第3試合(午後6時開始予定)で明治安田(東京)との初戦に臨む。7月の都市対抗大会1回戦で大敗した相手との再戦だ。捕手で打線の中軸を担う大本拓海(27)は「こんなに早く対戦の機会が訪れるとは」と腕をぶす。今夏は母校の掛川西高が26年ぶりに甲子園に出場した。後輩たちの活躍も刺激に雪辱を期す。
掛川西高は1回戦で山梨・日本航空高を破り、夏の甲子園で60年ぶりの白星を挙げた。在校生や卒業生らが大挙して駆けつけたスタンドは、出場校の中でも随一のにぎわいだった。「ただただ、うらやましかったですね」と大本は振り返る。
妻も掛川西高の卒業生で、甲子園に出掛けて行った。練習後に高校の後輩で投手の沢山優介(21)を自宅に招き、一緒にテレビ観戦した。大本自身は2年夏の静岡大会準優勝が掛川西高での最高成績。幼い頃から目標にしていた学校で、多くの人に応援されてプレーした喜びと誇りは、甲子園にあと一歩の所で届かなかった悔しさとともに、野球を続ける原動力になった。
母校の勝利で痛感したのは、「勝ってこそ、人を喜ばせることができる」ということ。「都市対抗で僕らが負けたから、なおさら、ひしひしと感じた。『応援してくれる人のために』という気持ちがあるから、まだまだ頑張れるのだと改めて思った」と振り返る。
チームは都市対抗後の約1カ月半、結果を問わず個々の技量を高めたり、課題を克服したりする「チャレンジ期間」を設けた。大本は、出塁率と長打力を高めることを目標にフォームの改良を試みる一方で、勝つためにどのような取り組みが必要か、改めて個々の投手とのコミュニケーションを深めたという。
187センチの長身からの力のある速球が魅力の沢山は、今夏の都市対抗で5点差を付けられた後の八回に登板し、3失点で途中降板した。チャレンジ期間中は、コーナーを突いたり低めに集めることを意識したという。
沢山は日本選手権に向けて、「先発したい」と熱望する。「同じ相手に負けるわけにはいかない」とは大本。甲子園を沸かせた母校のように、スタンドに喜びを届けるつもりだ。【藤倉聡子】
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