プロ野球の日本シリーズを巡り、日本野球機構(NPB)がフジテレビから、第1、2戦(26、27日)の取材パスを没収していた。関係者が明らかにした。フジテレビは第1、2戦を他局が生放送中に、大谷翔平選手らの所属する米大リーグ・ドジャースが出場するワールドシリーズ(WS)のダイジェスト番組を放送し、これが影響したと見られる。29日に福岡市のみずほペイペイドームで行われた第3戦の中継局はフジテレビで予定通り放送した。
関係者によると、フジテレビは26日にDeNAの本拠地・横浜スタジアムでの第1戦を前に、NPBから日本シリーズ全体を取材できるパスを取り上げられた。フジ系列でソフトバンクが本拠地を構える福岡の地元局・テレビ西日本(TNC)は、フジテレビとは別会社ということもあり、取材パスは支給されている。TNCの取材パスは、本来系列キー局を示すため「フジテレビ」と書いてあるはずの場所がマジックで黒塗りにされていた。
NPB幹部は「スポンサーを含めて、日本の野球界全体で日本一を決める試合を行っている裏に、わざわざワールドシリーズの番組をぶつけてくるのはおかしい」と話している。一方、取材とは別の放送の契約であるため、29日の試合はフジテレビが生中継した。フジテレビ企業広報部は毎日新聞の取材に没収の有無も含め「制作の詳細についてはお答えしておりません」と答えた。
メディア論に詳しい専修大の山田健太教授(言論法)は、日本シリーズについて「いわば国民的行事の一つであって、それ自体公共性が高い。民間事業でも取材・報道については可能な限りオープンであるべきだ」と指摘。NPBの対応については「自身の独自判断で特定報道機関の取材機会を与えない措置をとったのであれば、極めて残念であり問題がある」と話している。【岸本悠、林大樹、荻野公一】
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