○巨人3―2中日●(25日・東京ドーム)
ファンは、頼もしい主軸の一振りを待っていた。巨人の坂本勇人が今季3号の逆転3ランを放ち、東京ドームを大いに沸かせた。
五回まで中日の先発・柳裕也から一本の安打も出ず、手も足も出なかった巨人打線だが、2点を追う六回にようやく目覚めた。先頭の吉川尚輝がチーム初安打となる右翼フェンス直撃の二塁打で反撃のきっかけを作ると、四球も絡んで2死一、二塁で坂本が打席に入った。
「特にああいう場面は一振りで仕留めるのが大事」と1ストライクからの2球目、内角低めの直球にうまく腕をたたんで振り抜いた打球はレフトスタンドへ。フェンス越えを確信すると仲間が喜ぶ一塁側ベンチへガッツポーズを見せて、悠々とダイヤモンドを一周した。
プロ18年目を迎えた巨人のスター選手。この1本が自身にとってプロ通算2340本目の安打になり、「ミスター赤ヘル」こと山本浩二氏を抜いてプロ野球歴代単独14位となった。
希代のヒットメーカーとして輝き続けるが、今季はこの試合前まで打率が2割3分1厘。開幕は5番で迎えたが、思うように打撃の調子が上向かない状態が続き、得点が奪えないチームの中心として「貢献できていなかった」と責任を感じていた。
実に11試合ぶりとなる本塁打に「野手は苦しんでいるけど頑張っている。みんなで取った得点」。結局、攻撃陣はこの試合も2安打のみだが、主役の一振りで勝利をつかみ、坂本にとってもチームにとっても、価値の大きい一発になった。【川村咲平】
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