本番を前に練習で体を慣らす奥田貫太投手=和歌山県有田市で2024年10月17日午後1時54分、加藤敦久撮影

 大舞台に4大会ぶりに戻ってきた――。和歌山県内唯一の社会人野球チーム「マツゲン箕島硬式野球部」は9月の全日本クラブ選手権大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)に優勝し、今月29日に大阪市の京セラドームで開幕する第49回社会人野球日本選手権大会(同)に駒を進めた。7度目の出場で、本大会初の1勝を目指すチームを2回に分けて紹介する。【加藤敦久】

 26歳が最年長の若いチームが躍動したクラブ選手権制覇だった。初戦は優勝候補の千曲川硬式野球クラブ(長野)。初回に好投手の速球を4番・竹中夢翔(23)が右前にはじき返して先制。チームは勢いに乗った。

 竹中は専修大ではレギュラーから外れていたが、正式入社前の昨春、参加したオープン戦で長打力を見込まれ、入社後に打力が落ちても4番に抜てきされ続けた。西川忠宏監督(63)は「それが信頼関係。彼は黙々と練習し、強い思いを持っている」。竹中も期待に応え、懐の深い構えで苦手の内角球に対応し、筋力増強で飛距離を伸ばしてきた。先制の一打はその成果が出た形で、試合は7―1で快勝した。「日本選手でも勝利に導く打撃をしたい」と意気込む。

大会を前に実戦を想定した練習をするマツゲン箕島硬式野球部の選手たち=和歌山県有田市で2024年10月17日午後2時2分、加藤敦久撮影

 花園大学出身の新人ですでにエース的存在の奥田貫太(23)も、千曲川ク戦で投球の自信を深めた。スリークオーターで投げ込む最速150キロの速球が武器。7回1失点、12奪三振と好投すると、準決勝の大和高田クラブ(奈良)戦でも8回を無失点に抑え、大会MVPに輝いた。大学時代から逸材とされていたが、「社会人で打者との駆け引きを学んだ」という。「将来はプロ」と心に決めており、日本選手権の初戦が強豪のNTT東日本であることは望むところだ。大学時代に東京ドームで先発経験があり、「京セラドーム大阪の登板もイメージしやすい」と頼もしい。

 捕手の藤田幸永主将(25)は、クラブ選手権では「準決勝の大和高田ク戦に懸けていた」という。入社以来4年間、要所で阻まれ続けたライバル。巧みなリードで6―0と押さえ込み、決勝も快勝した。決意していた大会後の引退は先延ばしとなり、弟で二塁手の藤田希和選手(23)とプレーする時間が延びた。日本選手権では「最後の大会を楽しみたい」と話す。

 西川監督は「奥田の加入で投の柱ができた。藤田がリード面などで成長し、竹中は勝負強くなった」と手応えを感じている。初の1勝をもぎとる戦力はそろっている。

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