大舞台に4大会ぶりに戻ってきた――。和歌山県内唯一の社会人野球チーム「マツゲン箕島硬式野球部」は9月の全日本クラブ選手権大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)に優勝し、今月29日に大阪市の京セラドームで開幕する第49回社会人野球日本選手権大会(同)に駒を進めた。7度目の出場で、本大会初の1勝を目指すチームを2回に分けて紹介する。【加藤敦久】
26歳が最年長の若いチームが躍動したクラブ選手権制覇だった。初戦は優勝候補の千曲川硬式野球クラブ(長野)。初回に好投手の速球を4番・竹中夢翔(23)が右前にはじき返して先制。チームは勢いに乗った。
竹中は専修大ではレギュラーから外れていたが、正式入社前の昨春、参加したオープン戦で長打力を見込まれ、入社後に打力が落ちても4番に抜てきされ続けた。西川忠宏監督(63)は「それが信頼関係。彼は黙々と練習し、強い思いを持っている」。竹中も期待に応え、懐の深い構えで苦手の内角球に対応し、筋力増強で飛距離を伸ばしてきた。先制の一打はその成果が出た形で、試合は7―1で快勝した。「日本選手でも勝利に導く打撃をしたい」と意気込む。
花園大学出身の新人ですでにエース的存在の奥田貫太(23)も、千曲川ク戦で投球の自信を深めた。スリークオーターで投げ込む最速150キロの速球が武器。7回1失点、12奪三振と好投すると、準決勝の大和高田クラブ(奈良)戦でも8回を無失点に抑え、大会MVPに輝いた。大学時代から逸材とされていたが、「社会人で打者との駆け引きを学んだ」という。「将来はプロ」と心に決めており、日本選手権の初戦が強豪のNTT東日本であることは望むところだ。大学時代に東京ドームで先発経験があり、「京セラドーム大阪の登板もイメージしやすい」と頼もしい。
捕手の藤田幸永主将(25)は、クラブ選手権では「準決勝の大和高田ク戦に懸けていた」という。入社以来4年間、要所で阻まれ続けたライバル。巧みなリードで6―0と押さえ込み、決勝も快勝した。決意していた大会後の引退は先延ばしとなり、弟で二塁手の藤田希和選手(23)とプレーする時間が延びた。日本選手権では「最後の大会を楽しみたい」と話す。
西川監督は「奥田の加入で投の柱ができた。藤田がリード面などで成長し、竹中は勝負強くなった」と手応えを感じている。初の1勝をもぎとる戦力はそろっている。
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