春の高校バレー県代表決定戦の決勝が20日に行われ、男子は山形城北、女子は米沢中央が全国のオレンジコート行きの切符を掴んだ。激闘を振り返る。

男子の決勝は、4連覇をねらう第2シードの山形中央と、10年ぶりの優勝を目指す第1シードの山形城北が対戦。
去年の決勝、そして6月の県高校総体の決勝と同じ顔合わせとなった。
第1セット、試合の流れを作ったのは、ともに2年生。

(実況)
「山形城北の攻撃、こちらは佐藤純大だ」

山形城北は、185センチのエース・佐藤純大にトスを集めると、対する山形中央は。

(実況)
「山形城北の攻撃、3年生・太田、ブロックにかかりました。右手を突き上げたのは、阿部弘佑」

大会最長身197センチのミドルブロッカー・阿部弘佑が存在感を放つ。
飛び抜けた高さを十分に発揮するが、拮抗した展開から終盤、前に出たのは…。

(実況)
「山形城北、崩した! サービスエースだ」
「丁寧に上げて、真ん中から純大だ! 剛腕炸裂、佐藤純大」

山形城北の佐藤純大が圧巻のパワーを披露し、第1セットは山形城北が先取する。
続く第2セットも、序盤は山形城北がリードする展開となり、山形中央がタイムアウトを要求。

(山形中央・武田宏典監督)
「勝負していけ。何逃げている。ここまでやってきて逃げるのか? 勝負しろ」

この檄(げき)で火がついたのは3年生エースの鈴木俊平だった。
身長は174センチとスパイカーとしては高い方ではないが、豊かなジャンプ力から強打を打ち込みチームを牽引。鈴木の奮起をきっかけに、山形中央がこのセットを奪い返す。

取れば優勝に“王手”となる第3セットは、流れが行ったり来たり。
山形城北が185センチの1年生・斎藤宗一郎のブロックでプレッシャーをかけると、対する山形中央は3年生セッター・工藤昂也を投入し、2年生セッター須貝樹にスパイクを打たせる奇襲攻撃に。

終盤、同点となりしびれる展開にミスも出る中、冷静にスパイクを打ち込んだのは山形城北のキャプテン・太田絢斗だった。

(実況)
「また上げました、こちらは太田絢斗。上げた…、つなげない、ただつなげない。逆転、城北!」

大学受験のため準決勝まで欠場し、「決勝は自分が勝たせる」と誓っていた太田。
上がってくるトスをことごとくコートに沈め、山形城北がこのセットを取り優勝に王手をかける。

第4セット、競った展開をものにした勢いそのままに山形城北が自慢の攻撃力を発揮。中でも…。

(実況)
「チャンスボールは山形城北、木村悠聖! 力強いガッツポーズ、そして吠えました」

3年生レフティの木村悠聖。
大会を通して安定した攻撃力で貢献し、木村のスパイクをきっかけに山形城北が10連続得点、がっちりと流れを掴んだ。
セットカウント3対1、ライバルの連覇を止め山形城北が10年ぶり3回目の優勝。

(山形城北・キャプテン・太田絢斗選手)
「自分たちにとって憧れの舞台がオレンジコートなので、最後はやり切って自分たちの目標『ベスト8』を絶対に叶えたい」

* * * * * *

女子の決勝は、学校初の5連覇を目指す米沢中央と、5年ぶりの優勝をねらう山形商業、去年と同じカードとなった。

第1シードの米沢中央は、県内ではおよそ5年間負けなし。2020年度から1セットも落としていないその力を序盤から思う存分発揮する。
パワースパイクが持ち味の3年生エース・佐藤鈴、同じく3年生で安定感抜群のレフティ・櫻井好香(このか)と、3年生が頼もしくチームを引っ張ると、極めつきはリリーフサーバーで登場した3年生の出塚美桜。

(実況)
「ねらっていった! 入っています、さすがサーブ職人・出塚」

元日本代表の大林素子さんも驚く見事なサービスエースが飛び出し、このセットは米沢中央が大差で奪う。

続く第2セット、今度は米沢中央の2年生が躍動。

(実況)
「ここも乱れた、米沢中央がサーブで崩しています」

アウトサイドヒッター・岡崎芽依が連続でサービスエースを奪うと、170センチのミドルブロッカー・深澤紅が高さを生かした速攻やブロックでポイントを量産。
このセットも米沢中央が差をつけて取る。

後がない山形商業は第3セット。
去年敗れた悔しさをバネに「打倒! 米沢中央」を掲げ成長してきた意地を見せる。

(実況)
「さぁ、3年生、後藤、決まった! 今日一番のスパイクでしたね」

キャプテンでエースの後藤ゆうか。

(実況)
「丁寧にさばいて、こちらは早坂」

その後藤とともに切磋琢磨してきた3年生の早坂瑠南(るな)が懸命にスパイクを打ち込み、中盤まで山形商業がリードする。
しかし、インターハイや国スポなど数多くの全国大会に出場し、リードされる展開も
経験している米沢中央は冷静だった。

(実況)
「櫻井だ! 打てば決まる」

1年生からレギュラーの櫻井が終盤もミスのない安定したプレーを見せ逆転。
鍛えてきたレシーブから多彩な攻撃を展開し、粘る山形商業を振り切った。
セットカウント3対0、米沢中央が見事、学校初の春高5連覇達成。

(米沢中央・キャプテン・佐藤鈴選手)
「ことしはインターハイ・国スポでベスト16に終わっているので、春高ではその上を目指して、イチからチーム全員で上を目指して頑張っていきたい」

優勝校はもちろん素晴らしかったが、準決勝までの試合では、男子は鶴岡工業・東海大山形、女性は山形学院・上山明新館が非常によいバレーボールをしていた。
今回の悔しさをバネに成長してほしい。
全国大会は2025年1月5日、東京体育館で開幕する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。