高校野球秋季東北大会決勝(20日・福島・ヨークいわきスタジアム)
○聖光学院(福島1位)3―2青森山田(青森1位)●
7年ぶりの頂点をたぐり寄せたのは、チーム随一の経験がある「勝負師」の一打だった。
2―2の同点で迎えた七回。先頭打者の内野安打を皮切りに1死一、三塁と勝ち越しの好機で右打席に入った菊地政善は心に決めていた。
「下手に球種を狙うより、来た球に思い切って反応するだけ」
悪い流れを断ち切りたかった。六回は連打で無死一、三塁の好機を作るも、青森山田が投入してきた今大会無失点のエース、下山大昂の140キロに迫る直球の前に無得点。斎藤智也監督が「決めきれなかったのが尾を引くかもしれない」と振り返った場面だ。
再び得たチャンスをつぶすわけにはいかない。初球、甘く入った変化球を鋭く振り抜くと、打球は強いゴロで三塁手のグラブの横を抜け、塁上では喜びを爆発させた。試合後、「打った球もコースも覚えていません」と笑った。
今夏の甲子園では2年生でただ一人メンバー入りし、1回戦の山形・鶴岡東戦ではチーム唯一の打点を挙げた。新チームでも主力を担い、今大会は計4打点をマークするなど勝負強さはお墨付きだ。
帽子のつばには「勝負師」の3文字。明治神宮大会へ「目指すは日本一だけ」。大舞台になればなるほど頼れるスラッガーが東北に歓喜を届ける。【牧野大輔】
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