◆幼少期に相撲を始め、2019年世界ジュニア選手権中量級で3位
大相撲秋場所で、碧山を攻める安青錦(左)=福永忠敬撮影
「ウクライナ出身」 取組前にアナウンスが流れると、幕下の土俵ながら館内はひときわ盛り上がりを見せた。9月の秋場所では、自己最高位の西4枚目で6勝1敗と堂々の成績。「拍手をいただくとうれしい。日本のみなさんに感謝の気持ちでいっぱい」。前みつを引いて頭をつける相撲を生かし、初土俵からわずか7場所で関取の座へ。同国出身力士としては、十両獅司に続いて2人目となった。 ウクライナ西部のビンニツァで生まれ育った。相撲を始めたのは幼少期から。2019年に堺市であった世界ジュニア選手権中量級で3位の実力者だ。当時から大相撲への憧れはあったという。◆「好きな相撲をやりにきた。ホームシックはなかった」
思いをさらに強めたのが、ロシアによるウクライナ侵攻だった。ミサイル攻撃から逃れるため、両親とドイツへ避難。唯一の心のよりどころは大好きな相撲だった。憧れはいつしか目標となり、角界入りを目指すため、決断した。 2022年4月、国際大会で知り合った関大相撲部の関係者を頼って来日。日本語は一切できず、異国の地での苦労は数知れない。それでも「好きな相撲をやりにきた。ホームシックはなかった」と笑って振り返る。関大で稽古を積み、同年12月、安治川部屋に入門した。 両親は今もドイツから戻れないまま。大学に通うためウクライナを離れられない兄の安否も気掛かりだ。安青錦はニュースのチェックを欠かさず、「毎日ウクライナのことを心配している」。戦況は予断を許さず、だからこそ愚直に相撲と向き合った。「家族に活躍を見せたい」との執念でスピード出世を果たした。◆これからは15日間相撲を見せられる
自らのしこ名が書かれた木札を「十両」に付け替える安青錦=東京都江東区の安治川部屋(丸山耀平撮影)
入門前、「関取になるまで帰国しない」と誓った。だが念願を達成したいま、家族の元へ向かわず、来日させて勇姿を見てもらおうと思っている。昇進を報告した電話で、母親に第一声から「いつ会えるの?」とさびしがられても気持ちは変わらないほど、心にゆとりと自信が生まれた。 「これからは15日間相撲がある。いつでも見せられる」。来日して約2年半。流ちょうになった日本語で、間もなくかないそうな再会の夢を語った。(丸山耀平)安青錦(あおにしき、本名ダニーロ・ヤブグシシン) ウクライナ・ビンニツァ市出身、安治川部屋。2023年秋場所初土俵。得意は右四つ、寄り。180センチ、125キロ。20歳。
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