◆有言実行でラストスパートを
プロキャリア2年目の指揮官は前節、リーグ戦75試合目にして初めて黒星を2つ並べる屈辱を味わった。それでも取材に応じた17日、「優勝を目指さずして2位も3位もない」と強調。今季の目標に掲げた5位以内を視界に捉えつつあるとはいえ、あくまで優勝にこだわる考えを示した。町田―川崎 前半、川崎の攻撃を防ぐ町田守備陣=10月5日、町田GIONスタジアムで(布藤哲矢撮影)
黒田監督から「優勝」の2文字が聞かれたのは久しぶりだ。意識的に口にしないようになったのは、8月11日の湘南ベルマーレに敗れ、今季初の3戦未勝利と勢いに陰りが見え始めたころから。「肩の力を抜くつもりで、優勝とか首位はいったん忘れよう」と選手に語りかけ、メディアの前でも前のめりな姿勢をあえて隠すようになった。 5月中旬から首位を走ってきた選手たちを、重圧から解き放つための手だてだったが、3位に落ちて残り5試合となり「もう隠してもしょうがない」と封印を解いた。有言実行を果たすために自らチームを奮い立たせ、ラストスパートにつなげたい勝負師なりの意図がある。◆吹っ切れた…MF仙頭が語る「町田らしさ」
追われる立場になって精神的に追い込まれたことは、選手も認める。ただ首位陥落と引き換えに、原点を見つめ直す機会もできた。 中盤の要のMF仙頭啓矢は「今まで1位を走ってきたプレッシャーもあった」と振り返りながらも、「勝負にこだわることも大切だが、サッカーを楽しむからこそ良いプレーができて、チームの結果にもつながる。楽しむことがやっぱり大事」。そう吹っ切れた様子で明かした。 その上で仙頭は、昨季在籍した古巣・柏との対戦に向け「町田らしさをもう1回体現できる試合にしなければ」と気を張る。らしさとは何か。「目に見えるもので言えば、ずっと掲げてきた失点0。加えて、激しいハイプレスやピンチで体を投げ出す守備。町田がこだわっているところで負けないようにしたい」と意気込んだ。◆リーグ中断で「深呼吸」できた
柏には前回ホームで対戦した5月に2―0で完勝している。とはいえ、当時の相手は日本代表経験のあるFW細谷真大が不在。さらに、ここ3試合は残留争いが佳境に入る中でしぶとさをみせ、無失点で1勝2分けと守備の堅さが際立っている。黒田監督は「受けて立つと、のみ込まれる」と警戒を強める。3位から巻き返しを誓うFC町田ゼルビアの黒田剛監督
ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の開催に伴い、リーグ戦は2週間の中断を挟んだ。初参戦の舞台で、息つく暇もなかったJ1一年生にとっては頭を休め、考えを整理する期間になったようだ。リフレッシュを経て集大成へ──。黒田監督は「深呼吸する時間があった方が良い。すごく良い時間だった」と充実感をにじませた。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。