マリナーズ戦に先発したアストロズの菊池雄星投手=米ヒューストンで9月25日、AP
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 米大リーグで6年目のシーズンを終えた、アストロズの菊池雄星投手(33)が最新のトレーニング機器を備える野球用の屋内練習施設を、岩手県花巻市に建設中だ。施設は11月中旬にオープン予定で、施設を利用するスクールも12月1日に開校する。菊池投手が高校時代を過ごした「第二の故郷」に東北の冬に対応した、少年少女たち向けの練習環境が整備される。

 施設名は「King of the Hill」。大リーグでエースピッチャーをたたえる尊称で「マウンドの王様」を意味する。

 施設では冬場の降雪など東北ならではのハンディを克服できるほか、大リーグでも使われている、投げたボールの回転数や回転の角度を測る機器などを用いながら、日本の独立リーグで選手だったスタッフらの技術指導が受けられる。

 施設は母校・花巻東高の敷地内にあり、今年2月に着工する前は同校の多目的グラウンドだった。

菊池雄星投手が「第二の故郷」岩手県花巻市に建設中の野球施設「King of the Hill」の完成予想図=K.O.H提供
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 鉄骨造り平屋の約1400平方メートルで、2人が同時に投げられるブルペンと、2人が同時に打てるバッティングレーンに加え、トレーニングジムや交流スペースを設ける。ギャラリーには菊池投手が着用したユニホームや野球用具が展示される。

 施設の運営を担う「K.O.H」(東京)によると、菊池投手は「小学生の僕がそうであったように、純粋に野球を楽しんでほしい。プロ野球選手も、高校球児も、少年野球チームも、そして僕も、この施設を使います」としている。

 菊池投手は自身のX(旧ツイッター)で、施設の建設に当たって3年の打ち合わせを重ねてきたことや、科学的なトレーニングの重要性を強調。「成長期に最も大切な休息をしっかり取り、骨の成長に充てる時間が疎(おろそ)かになった」と自身の反省も記述するなどし、成長期の選手らに科学的な知識も伝えたい考えという。

 「K.O.H」で広報を手がける山田理(さとる)さん(46)によると、施設には「1日限りの野球教室ではなく、子どもたちや地域住民が一年中集まる場所」というコンセプトがあり、菊池投手は「ずっとこの施設を造りたかった。とにかく地域の人に使ってもらいたい。今からワクワクしている」と話している。

 花巻市で9月にあったスクールの説明会に参加した盛岡市の少年野球チーム「見前(みるまえ)タイガース」の小学6年、久保田朝稀(あさき)さん(12)は「内容が盛りだくさんで、入りたいと思った。雨でも雪でも練習できるのは魅力」と話していた。

 スクールは幼児から中学生までが対象で、コースにより、月額1万3000~1万8000円。問い合わせは「K.O.H」のホームページから。【早川健人】

菊池雄星

 米大リーグ、アストロズの投手。盛岡市出身の33歳。高校1年夏と3年春・夏の計3回甲子園に出場し、2009年春に準優勝。同年秋の日本のプロ野球・新人選手選択(ドラフト)会議で6球団が1位指名し、西武に入団した。2018年まで3年連続で開幕投手を務め、2019年に米大リーグ・マリナーズ入り。ブルージェイズを経て今年7月、アストロズへ移籍した。ドジャースの大谷翔平選手は、花巻東高の3年後輩。

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