羽生結弦さんの新たな全国ツアー公演のロゴ=公演事務局提供

 フィギュアスケート男子で冬季オリンピック2連覇を果たし、現在はプロスケーターとして活躍している羽生結弦さん(29)が4日、新たなアイスショーの全国ツアーを実施すると発表した。自身の誕生日となる12月7日からスタートさせ、全国3カ所を巡る。

 埼玉公演(さいたまスーパーアリーナ・12月7、9、11日)、広島公演(広島グリーンアリーナ・2025年1月3、5日)、千葉公演(ららアリーナ東京ベイ・25年2月7、9日)を開催。羽生さんが製作・総指揮を担当する「ICE STORY(アイス・ストーリー)」の第3弾となる。「Echoes of Life(エコーズ・オブ・ライフ)」と名付け、人生の旅路や成長をテーマに「命」や「生きる」ことの本質を問う物語としている。演出は日本を代表する演出家のMIKIKOさんが再び手がける。【倉沢仁志】

 羽生さんとMIKIKOさんのコメントは次の通り。

 <羽生結弦さんのコメント>

 私は「生きている」ということについて、物心ついた頃から漠然と考えてきました。そして東日本大震災を経て、また、様々な災害に遭われた方と出会い、記憶や想(おも)いに触れ、加えて、近年急増しているように感じる日本各地の天災や世界中の困難を目にする毎(ごと)に、学んできた「生命倫理」と、考え、感じてきた私が持つ哲学の中で私が「生きている」ということ、「生きている」意味について答えを探しては見失い、また探して見つけて仮定してということを繰り返してきました。

 ふと目を外に向ければ、私たち自身を見失ってしまうような、情報に溢(あふ)れた社会の中、自分の痛みも他人の痛みも感じ続けてしまうような世の中で、「命」とは何か。「わたし」とは何か。そんな途方もない問いへのヒントになりたいと思い、物語とプログラムを綴(つづ)りました。

 きっと、私にしかできないなんてことは、この世には存在しないと思います。AIやテクノロジーが発展している今、人間にしかできないこともどんどんとなくなり始めています。

 ただきっと、創り上げていくチームと、公演を観(み)てくださる皆さんと一緒なら、その一瞬は「私たち」にしかできないことに変わると信じています。

 世界最高峰のチームと、そして、皆さんと一緒に、最上級の体験をしていただけるよう、心を込めて、魂を込めて、全身全霊で滑り、届けていきます。

 <MIKIKOさんのコメント>

 羽生結弦さんがプロに転向して2年。

 GIFT、RE_PRAYに続き、3作目が産声を上げようとしています。

 我々が思う“普通ではあり得ない”を次々と更新して行く彼の姿を見ていると、人間にしか出来ないことはまだまだあるよな、と、この時代に私たちが遺(のこ)すべきものを明確にしてもらうことが出来ます。

 表現とは、心情や感情、精神など、知覚できないことを知覚できる形にして表に出すこと。

 身体表現、感情表現の世界的スペシャリストが25年間のスケート人生で感じ蓄えてきた“命への問い”は3作目にして益々(ますます)深みを増して綴られています。

 いまは産みの苦しみの真っ只中(ただなか)。

 見たい景色を見るためにチーム一丸となって原作と向き合う日々です。

 みなさまと一緒に新たな扉を開けられる日を楽しみにしています。

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