押し出しで豊昇龍(左)を破り優勝を決めた大の里=両国国技館で2024年9月21日、和田大典撮影

大相撲秋場所14日目(21日、東京・両国国技館)

○大の里(押し出し)豊昇龍●

 幕下付け出しデビューした初土俵から9場所目の24歳・大の里が大関・豊昇龍を圧倒した。新小結だった5月の夏場所に続く2回目の優勝を決め、「うれしいですね。最高の相撲が取れた」と喜びを口にした。

 豊昇龍には初場所から3場所続けて下手投げで敗れ、先場所は不戦勝だった。「立ち合いと土俵際を自分に言い聞かせて意識した」。その立ち合いは、大の里が突っかけて待った。2回目は大の里の出足が勝った。

 鋭く踏み込んでからもろ手で相手の上体を起こして後退させる。豊昇龍が左に逃げても動じずついて行き、再び突き放す。大関にたまらず土俵を割らせた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「馬力はどんな技術をもってしても防げない。立派。文句なし」と絶賛した。

 「先場所の悔しさと反省を生かし切れた」とは大の里。「考えすぎた」という新関脇だった名古屋場所は序盤でつまずき、9勝にとどまった。今場所は先場所で敗れた6人のうち、対戦があった5人に雪辱し、修正能力の高さを示す。千秋楽を残して自己最多の13勝をマークし、三役で3場所計34勝に積み上げ、うち2場所で優勝を果たした。

 高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「前に出ているからいうことない」と内容を評価した。その上で、大の里の大関昇進を諮る臨時理事会の招集を千秋楽に、理事長に要請する意向を明らかにした。

 この日、大の里の地元・石川県での大雨による被害が報じられた。「自分の優勝が石川県の皆さんにいい報告と、明るい話題を届けられて良かった」。大の里は強さだけでなく、故郷を思いやる優しさも持っている。【武藤佳正】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。