大相撲秋場所で新潟県立海洋高校出身の大の里関が強さを見せる中、女子相撲で世界一を目指す選手がいる。2023年、世界大会で準優勝した新発田市出身の阿部ななさんだ。2024年から地元を離れ、石川県の相撲の強豪校で稽古に励んでいる。ななさんの今の様子や世界大会にかける思いを取材した。

地元離れ強豪校に進学

「相撲部みんなで稽古するところが楽しい」

2024年8月、石川県での生活について、こう話してくれたのは新発田市出身の阿部ななさん(16)だ。

阿部ななさん
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お盆休暇後、約1週間ぶりの部活で部員との再会を喜んでいた。

ななさんは2024年、地元の中学校を卒業し、相撲の強豪校・金沢学院大学附属高校に進学。金沢学院相撲部では男女合同で練習を行い、大学生から中学生まで多い時には40人以上で汗を流す。

稽古について、ななさんは「女子部員と稽古できるのはうれしい。色んな相手とできて楽しい」と笑顔で話してくれた。

金沢学院の徳田哲雄監督は「中高で一緒にやっているところはあるが、これだけ幅広いジャンルでやれているところはないと思うので、それが金沢学院の売りじゃないかなと思う」と話す。

ななさんについては、「新潟時代から培った、強く当たって押すというのは今でも磨き続けているし、コツコツ努力を積み重ねることができる選手」と評価した。

徳田哲雄 監督

入学してから約半年間、下半身を中心に強化してきたななさんは「引き落としにちゃんとついていけるようになったかな」と自身も成長を実感している。

その努力の結果、2024年7月の全国大会では一般・重量級で大学生を倒し、見事優勝を果たした。

全国大会で優勝

女子部員全員で寮生活「ムードメーカー的な存在」

成長しているのは競技面だけではない。「身の回りのことは全部1人でやっている。全然大変じゃない」

寮で生活しているため、洗濯や掃除などは自分で行い、自立への一歩を踏み出していた。

寮生活 身の回りのことは全部自分で!

中学・高校の相撲部に所属する女子部員8人全員、寮生活を送るため、仲がいいのもこの部の特徴だ。

チームメイトにななさんについて聞くと、「ななはいつも明るくてムードメーカー的な存在」「ななが入って本当にとてもうれしい。団体戦では一つ勝ってくれるという感じなので心強い」と先輩・後輩ともに慕われていた。

この春、新潟から金沢学院大学附属中学校に進学した1年の井浦まるさんにとってもななさんの存在は大きいようだ。「すごく安心する。新潟の人がいると知っていたので、ななさんと話しやすかった」

井浦まるさん

世界一目指しポーランドへ

ななさんがこの高校を選んだ理由は、女子相撲部があるからだけではない。

2023年に開かれた世界大会では、体格で勝るドイツの選手に決勝で敗れ、惜しくも2位に…決勝直後にななさんは「もっと強くなって頑張りたい」と悔しさをにじませていた。

2023年の世界大会では2位に

世界一になるために…多くの選手と切磋琢磨できる環境で稽古を積んだななさん。

2024年も世界大会の出場権を獲得した。9月にポーランドで開かれる世界大会でのリベンジに燃えていたが「結構不安…話せないし、人見知り」と不安は隠せない様子。

そんな不安を抱くななさんの強い味方となっているのが女子相撲部のコーチを務め、ななさんの担任でもある山下紗莉奈先生だ。

「初めての海外で頼れる人もいない中、まだ16歳の女の子がどこまで精神を保てるかというのが多分肝になってくる」

山下紗莉奈 先生

山下先生は高校時代、モンゴルで開かれた世界大会で個人無差別級と団体で優勝している。

「ななは土俵際で投げられて負けたりする。ちゃんと最後まできっちり腰を下ろして、足がついていかない時もあるので、ちゃんと腰からぶつけていけるように」

世界大会では、ななさんより体格で勝る選手も多いため、最後まで腰を低くして戦うことや、どれだけ楽しめるかがポイントになるという。

山下先生の指導の下、ななさんは「落とされないようにしっかりついていって、当たりの一発で持っていけるような相撲を取りたい」と意気込みを語った。

世界大会に向け食生活にも気を配り、体重を落とさないようにするため、お昼ご飯は1kg食べるよう心がけているななさん。

地元を離れ、心身ともに成長を続けるななさんが再び世界一に挑む!

(NST新潟総合テレビ)

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