現役を引退した大相撲の元大関・貴景勝の湊川親方が秋場所14日目の21日、東京・両国国技館で記者会見した。慢性的な首の痛みに苦しみ、28歳で土俵に別れを告げ、「燃え尽きました。小学3年で相撲を始め、横綱になることだけを夢見てきたが、体力、気力がなくなった」と時折、声を震わせながら、引退の理由を説明した。
埼玉栄高3年だった2014年に入門。当初は角界では決して大きいとはいえない体格に悩んだこともあったという。「相手と同じ相撲を取っていては勝てない。突き押しこそが生きる道と信じてきた」。言葉通りの取り口を貫き、大関に通算30場所在位した。
「ケガあっての自分」と振り返るように両膝の故障などにも泣き、最後は首のケガに悩まされた。「100%の準備で(本場所に)臨んできたが、ここ最近はその準備ができないもどかしさがあった」
関脇に転落した秋場所は初日から2連敗。自らの限界を悟り、11日目(18日)の夜に師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)に引退の意向を伝えた。2日目に対戦し、最後の取組相手となった王鵬は埼玉栄高の後輩でもあり、「王鵬で良かった」とも語った。
「手をいっぱい伸ばしても届きませんでした」と語る、横綱の地位。今後は常盤山部屋付きの親方として後進の指導に当たり、新たな弟子に夢を託すことになる。「今の時代、不向きと言われるかもしれないけど、根性と気合を持った力士を育てたい」と、決意を口にした。【岩壁峻】
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