13回大会、柏中で優勝の田口恵一さん
夏の甲子園を湧かせる高校野球にも似た熱気とドラマがあった――。第13回東葛飾地方中学校駅伝競走大会(東葛駅伝、1959年)で優勝した柏市立柏中の主将だった田口恵一さん(80)=同市の吉野沢保育園理事長=は大会の「三十回記念誌」にそう記した。田口さんに当時の思い出や今大会に臨む後輩たちへのエールを聞いた。
――65年前、東葛駅伝で優勝した時のことを覚えていますか。
鮮明に覚えています。戦後間もない当時はまだ地域でのイベントはほとんどない時代でした。小学校の時に先生に引率され、東葛駅伝の沿道応援に行っていたので、憧れでした。
大会当日は学校の朝礼で、出走メンバーが紹介されました。本番は6区を走り、(5区の走者から)トップでたすきを受け取りました。とにかく夢中で、雲の上を走っているようでしたが、気持ちよかったです。(7区の走者に)たすきを渡した後、トラックの荷台に乗ってゴール地点にたどり着くと、自分のチームが1位で到着した後でした。
――優勝の秘訣(ひけつ)は何だったのでしょう。
その年は、走り幅跳び専門の先生が監督になって最初の年で、チームのみんなに自主性を持たせてくれました。力を出させる雰囲気作りがうまかったと思います。当時は、どのチームも先生が自転車で走者に併走し、声かけをしていました。
――東葛駅伝はどんなイベントでしたか。
毎日新聞が大会前に「どの学校が優勝するか」とクイズ形式で懸賞もしていて、人気はすごかったです。地域の人も「待ちに待った駅伝」と関心が高かったですね。練習の際はPTAの人たちが豚汁を作ってくれたり、生卵を提供してくれたりしました。主将としてメンバーに「必勝」などと書いたポスターを作ってもらい、気持ちを盛り上げた思い出もあります。
――今大会に臨む後輩たちにエールを。
一生懸命やったことは、後になって「あの時のように頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。将来、心の支えになるような部分があるので、全力で走ってほしい。(自身の)人生の応援歌になる経験をしてください。【伊藤一郎】
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戦後間もなく始まり長い歴史がある東葛駅伝は10月19日、松戸市~野田市を舞台に開催されます。76回目の今回はジェイコム千葉が初めて全コースを生中継します。
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