プロ野球・巨人

○巨人6―0DeNA●(19日・東京ドーム)

 18日に優勝へのマジックナンバーが初点灯したとはいえ、2位阪神にピタリと追走されている。平常心を保つことが難しいはずの大事な先発マウンドで表情一つ変えず、スコアボードにゼロを並べる姿こそ、エースたるゆえんだ。巨人の先発・戸郷翔征が8回無失点の投球で、優勝にまた一歩前進させた。

 140キロ台後半の直球に力があった。3点を先にもらうと、相手に反撃の糸口すらつかませない。唯一と言えるピンチは安打と四死球で2死満塁とした四回だったが、最後は149キロ直球でDeNAの7番・伊藤光のバットをへし折り、内野ゴロで切り抜けた。

 「ゼロに抑えること。当たり前にできることをやっていければ一番」。試合前の言葉を実践し、阿部慎之助監督に「完璧じゃないですかね」と言わしめる投球で、マジックを8に減らした。

 これで自己最多に並ぶ12勝目を挙げ、防御率は1点台に突入した。奪三振数はこの日7個積み上げて152まで伸ばした。2位に20個以上の差をつけ、最多奪三振のタイトルをほぼ確実にしている。

 初めて優勝を経験した2019年はルーキーイヤーの19歳で、炭酸水を浴びた。「自分の勝ちだけを意識していた」と振り返る20年の優勝は、新型コロナウイルス下でビールかけが行われなかった。

 それから4年。「今はチームの勝利、中継ぎのことも考えて、それがいい投球につながっている」。自他ともに認める成長ぶりで大黒柱に成長した右腕が「あの瞬間は格別。ビールを味わいたい」と歓喜の瞬間へ、思いを強くしている。【川村咲平】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。