プロ野球・巨人

巨人―DeNA(19日・東京ドーム)

 ついに見え始めた「ゴール」に向かって、一直線に突き進む。そんな執念が垣間見えるプレーだった。巨人の3番・吉川尚輝が、打って走って先制攻撃を引っ張った。

 一回無死一、二塁から試みた犠打はうまくいかず、2ストライクに追い込まれたが、二塁走者の丸佳浩の盗塁で一、三塁に場面が変わり、「失敗を取り返すつもりで」と仕切り直した。

 2―2からの5球目、真ん中付近の変化球を捉え、右翼手の頭を越す先制の適時二塁打でミスを帳消しにした。

 これだけでは終わらない。5番・大城卓三の犠飛で1点を加えた後、6番・モンテスの飛球が一塁側のカメラマン席付近に上がった。DeNAの一塁手、オースティンの捕球体勢がやや崩れた一瞬の隙(すき)を見逃さなかった。

 迷いなく三塁へスタートすると、慌てたオースティンの送球がそれてレフトへ。スライディングした三塁ですぐに起き上がって走り始め、頭から本塁へ飛び込んで生還し、思わず笑みがこぼれた。

 今季の吉川は、勝負強い打撃と鉄壁の守備で開幕から全試合出場を続ける。最近は3番に座り、15、16日の中日戦では4番の岡本和真と2試合連続でアーチを共演。チームは吉川の活躍とともに勝利を重ね、残り11試合となった18日夜に初めて優勝へのマジック「9」を点灯させた。

 とはいえ、2位の阪神もピタリと追走している。「一試合一試合が大事。何とかしたい。何でもいいので塁に出たい」と語る吉川。歓喜の瞬間まで、がむしゃらに自分の役割を全うする。【川村咲平】

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