第49回社会人野球日本選手権東北予選(9日・仙台市民球場)
○日本製紙石巻7―2七十七銀行●
一夏を越え、さらなる成長を遂げた新人左腕がチームを京セラドーム大阪へ導いた。
大一番の先発マウンドを任された日本製紙石巻の生長蓮は四回まで被安打1と好投し、五回のピンチでも踏ん張った。
失策を皮切りに自らの野選も重なり、1点差まで迫られた。なおも2死二、三塁と、一打逆転の場面で打席には2番の根本郁也。1打席目に安打を浴びていたが、冷静だった。「当てるのがうまいが長打はない。早めに勝負を仕掛ける」。言葉通りわずか2球で追い込むと、最後は外角に逃げるスライダーで泳がせ左飛に。窮地を脱し小さく拳を握った。
今夏の都市対抗では1回戦のKMGホールディングス戦で先発し5回1失点の粘投を見せたが、他の投手陣が崩れ、計2試合で13失点。沖山勇介コーチは「継投もやり方ではあるが、細かくつなぐと流れを切ってしまうケースもある」と、全国で勝ち上がるために「長いイニングを投げる先発投手」の台頭を望んでいた。
その中で期待をかけられたのが生長だ。毎年夏場は体重が落ちてしまうといい、食事量を増やしウエートトレーニングにも力を入れた。8月のJABA長野大会では都市対抗優勝の三菱重工East相手に九回途中2失点と結果も付いてきた。この日も六回以降に直球の球威が落ちてくると、カーブなど変化球主体の投球にシフトし、相手打線に球を絞らせず8回を投げ2失点と堂々の投球を見せた。
「うちは継投で来るだろう、みたいなイメージを覆してくれた」と沖山コーチも先発として一本立ちした生長をたたえた。本人は「まだまだ未熟です」と謙遜したが、夏よりも頼もしさを感じさせた。【牧野大輔】
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