第17回夏季パラリンピック・パリ大会は8日夜(日本時間9日未明)、12日間の日程を終えて幕を閉じた。大会には168の国と地域に難民選手団を合わせ、約4400人の選手が参加した。多様性の祭典が担う「共生社会の実現」の理念に加え、今大会ではオリンピックと同じ「ジェンダー平等」が掲げられ、出場選手の45%が女性となった。
閉会式は午後8時半からパリ郊外サンドニのフランス競技場であり、雨が降る中、各国旗手の行進があった。
国際パラリンピック委員会のアンドルー・パーソンズ会長は「私たちは、スポーツを超えて社会にある壁を打ち破るべきだ。競技場の外でも、障害者が教育を受けて働き、エンターテインメントや市民社会のあらゆる場所で活躍できるようにするために」と述べた。
ランタンで持ち込まれた聖火と、パリ中心部のチュイルリー公園に浮かんだ聖火台の火が静かに消され、花火が打ち上げられた。「多様性の祭典」は五輪とともに2028年の開催地・米ロサンゼルスに引き継がれることになる。
またフランスでは、30年にアルプス地域での冬季五輪・パラリンピック開催が決まっている。
2大会ぶりに有観客で開かれた今大会では、用意されたチケット280万枚のうち250万枚が売れたという。
一方、2年半を超えたロシアによるウクライナ侵攻は開会直前に激しさを増し、期間中にも異例の規模のミサイル攻撃があった。ロシアとベラルーシから個人の「中立選手」として96人が参加したことでウクライナの選手らから非難の声が上がるなど、平和の祭典には最後まで戦争が影を落とし続けた。
日本からは海外開催では過去最多の175人(男子100人、女子75人)が参加。閉会式では、いずれも金メダリストの木村敬一(競泳)、和田なつき(卓球)が旗手を務めた。
日本勢が獲得したメダルは金14、銀10、銅17の計41個。金メダル数は東京大会(13個)を上回ったが、総数は前回の51個から減った。自国開催後のスポンサー離れやパラスポーツそのものへの関心低下が今後も課題になる。【パリ春増翔太、川村咲平】
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