特集はパラリンピックで活躍が期待されるブラインドサッカーの平林太一選手です。
幼くして全盲となりましたが、サッカーと出会い、「人生そのもの」と言うほど、練習に突き進んできました。夢見た大舞台はすぐそこです。


■代表最年少 エースストライカー

得意のドリブルで相手をかわし、シュート!ブラインドサッカー日本代表の平林太一選手(17)。代表最年少ですがチームをけん引するストライカーです。

普段は松本美須々ケ丘高校に通う3年生。7月の壮行会では、力強くパリでの活躍を誓いました。

ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手(松本美須々ケ丘高校3年):
「ここで皆さんから受けたパワーは本番、全力で全部発揮したいと思っています。俺が日本を勝たせます。ここにメダルを首にかけて戻ってきたい」

夢見た大舞台で持てる力の全てをぶつけます。


■1歳で目の病気、4歳で全盲に 

1歳で目の病気にかかり、4歳で全盲となった太一さん。ブラインドサッカーと出会ったのは小学1年生の時です。音の出るボールをみんなで追いかけ、力を合わせてゴールを狙う。すぐに夢中になりました。

平林太一さん(当時9歳):
「サッカーはみんなと協力してやるから、みんなと仲良くなれたり、つながれる」

日課となった父・道広さんとの「朝練」ではー

平林太一さん(当時10歳):
「楽しいは楽しいけど、すぐゴール入っちゃうから、もうちょっと取ってほしい」


■夢は日本代表のエース

この頃から抱くようになった夢。それはー

平林太一さん(当時):
「ブラインドサッカーの日本代表のエースになれたらいいな」

その後も練習に励み「松本山雅B.F.C」の中心選手に。

そして、高校1年生の時に日本代表に選ばれます。


パリへの切符をかけた2023年の世界選手権では4得点!出場権獲得の大きな原動力となりました。

ただ、それに満足せず太一さんはその後も課題と向き合い、練習を重ねてきました。

ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手:
「ドリブルは得意なんですけど、シュートの部分がすごく課題が残るのでしっかり詰めて、もっともっと自分の役割を全うできるようにしていきたいです」

チームメイトは厚い信頼を寄せています。

ブラインドサッカー日本代表・川村怜主将:
「日本を代表するトッププレイヤー。日本を勝利に導く得点、ゴールを決めてくれるとうれしいです。僕も期待しています」


■メダルを取りたい 

(動画)
♪「オー、太一 オー、太一」

太一さんに贈る応援歌=「チャント」を歌うのは松本山雅のサポーター。現地の観客も巻き込もうと有名な「オー・シャンゼリゼ」の替え歌にしました。

松本山雅サポーター・根本弥さん:
「日本中の人に知ってもらうチャンスでもあるので。だからやっぱりメダルを取りにいきたいです。その後押しをするために俺も行くので」

動画の撮影を呼びかけた山雅サポーターの根本弥さん。自身もパリへ行き、全試合で声援を送ることにしています。

パリへ応援に・根本弥さん:
「フランス語で『頑張れ!(Allez)、太一』って書いてあります。巧みなドリブルで相手を置いて、シュートまで持っていくっていう、ブラインドサッカー界のマラドーナと言っていいと思います。たぶん、パラリンピックが終わった時に世界中がそう言うと思いますよ」


■最後まで歓喜のために戦う

根本さんと太一さんは趣味の音楽を語り合う友人同士でもあります。7月には、太一さんが、根本さんが営むラーメン店を訪れ活躍を誓ってくれたそうです。

根本弥さん:
「ずっとそういう(全盲の)世界で生きながら、何も諦めない。同じような障害を持つ人とか、自分たちにとっても励みになる。一人の人間として尊敬もできるし、頑張ってほしい」

チャントの動画を送ると太一さんからメッセージがー。

(太一さんからのメッセージ):
「皆さんの優しさや強さは、パリのピッチで僕を確実に強くしてくれます。みんなの思いがある限り、最後まで歓喜のために戦います。共に戦いましょう」

根本弥さん:
「やっぱりゴールですよ。平林君にとって求められるのはゴール。何が何でもゴールをもぎ取ってほしい」


■家族「いよいよ」「ドキドキ」

太一さんの家族も現地で応援します。

母・小百合さん:
「いよいよだなと」

父・道広さん:
「ドキドキですかね」

高校や盲学校、松本市などから託された旗などを持っていきます。


妹の亜里咲さんは手作りの「太一くん人形」を持って応援です。

妹・亜里咲さん:
「パリで頑張ってほしいっていう思いで作った。諦めないで進んで行く姿がかっこいい。ドキドキするけど点も取ってほしい」


■「俺が日本を勝たせる」

家族の前では、本音が出る太一さん。

実はー

母・小百合さん:
「壮行会やってもらっ時に『でっかいこと言いすぎちゃったかな』って本人がー(笑)」

気にしていたのは冒頭でも紹介した太一さんの「宣言」。

平林太一さん(7月の壮行会):
「でかいことを言いたくなったので、でかいこと言って終わりにします。俺が日本を勝たせます。ここにメダルを首にかけて戻ってきたい」

母・小百合さん:
「ちょっと後悔みたいなことも言っていたので、それが後悔にならないように実現してもらえたらいいなと思います」

朝練に送迎と両親は、この10年余りひたむきにボールを追いかける太一さんを一番近くで見守ってきました。

父・道広さん:
「小さい時は、楽しくやれるものがあればいいなと思ってやらせたら、いつの間にか…なっちゃったので(笑)。一番いい色のやつをつけて、帰ってきてもらいたいです」

母・小百合さん:
「出場することが夢だったかもしれないけど、今はその先、メダル獲得っていうのが夢じゃない、もう目標だから。達成できるように頑張ってほしいです」


■ブラインドサッカーが生きがい!

チームは先週、キャンプ地のイギリスからパリに入りました。太一さんの調子は良さそうです。

(太一選手のX)
「得意のドリブルはスピードも上げられそうです!1万人を超えるかもしれない人たちの前でプレーできるのが楽しみであり少し不安です!」

強豪ぞろいの予選ラウンドは9月1日から。いよいよ、太一さんがパリのピッチに立ちます。

ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手:
「ブラインドサッカーが生きがい、自分の人生とイコールというか。自分の人生そのものというところがある。一番はメダルをとること。それに貢献できるように頑張っていきたい」

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