亀田忠彦市長(左)から花束を渡され、銀メダルを手に笑顔を見せる新添左季選手=橿原市分庁舎で2024年8月23日午後4時6分、皆木成実撮影

 パリ・オリンピック柔道男女混合団体で銀メダルを獲得した新添左季選手(28)=自衛隊=が奈良県橿原市に帰郷し、市分庁舎で23日、報告会があった。個人戦は準々決勝で敗退したこともあって「子どもたちの手本になれなかった」と言葉を詰まらせた。しかし「市民に感動を与えた」と亀田忠彦市長から市スポーツ特別功労賞を授与され、花束を渡されると満面の笑みを浮かべた。

 初の五輪。しかも7月31日の個人戦は、日本勢が連覇中だった女子70キロ級で戦うため重圧がかかった。新添選手は準々決勝で負け、敗者復活戦も敗れてメダルを逃し「情けない気持ちでいっぱい」と子ども時代の「泣き虫左季ちゃん」に戻った。しかしテレビ中継で解説者を務めた天理大男子柔道部の穴井隆将監督は「情けないなんてことはない。(メダルを期待され)日々葛藤があったと思う。お疲れ様と言ってあげたい」とフォローし、列島に感動を呼んだ。

 3日の団体戦は別人のように活躍した。準々決勝セルビア戦は得意の内股で一本勝ち。ドイツとの準決勝は個人戦「銀」のミリアム・ブトケライト選手を延長の末に降し、「金」に届く実力があると世界にアピールした。

 報告会で新添選手は「個人戦でメダルが取れず、心が折れそうになったけど、(同様に不振だった)阿部詩選手らと励まし合い、気持ちを切り替えて団体戦に臨めた」と話した。新添選手が柔道を始めるきっかけになった「橿原市柔道クラブ」の児童らも詰めかけ、大先輩をたたえた。

 亀田市長は「負けてくじけることもあるが、周囲の支えで奮起して強くなる。その新添選手の姿が若い世代にどれだけ勇気を与えたことか」と功労賞授与の意義を語った。【皆木成実】

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